カシオ計算機は、公益財団法人 日本郵趣協会が主催する「スタンプショウ2015」に、立体的なデジタル絵画の新製品「カシオアートレリーフ マキシマム」を出展した。今回、カシオ計算機の担当者にカシオアートレリーフ マキシマムの特長について聞いてきたので紹介しよう。

スタンプショウ2015は4月24日から26日まで、東京都立産業貿易センター台東館(東京・浅草)で開催。カシオ計算機は、カシオアートのブースを出展した

カシオアートとは?

カシオアートは、カシオ計算機が開発したTD(Thermal Distend)印刷技術と3D造形技術を用いて制作したアート作品。写真に100段階以上もの凹凸を持たせた、立体的なデジタル絵画。次世代の3D印刷技術を応用して製造されている。同社はこれまで「ふみの日切手」や、郵便局のキャラクター「ぽすくま」、北斎の富嶽三十六景や広重の東海道五十三次といった「浮世絵」をモチーフに商品を展開してきた。

立体的なデジタル絵画、カシオアート。電波時計付きの卓上式フレーム「カシオアートフレーム」と組み合わせて楽しめる

今回、同社が発表したカシオアートレリーフ マキシマムは、実物の郵便切手をモチーフにしたもの。「1円普通切手」「2円普通切手」「3円普通切手」の3種類で展開する。1円切手は日本の近代郵便制度創設者のひとりである前島密が、2円切手はエゾユキウサギが、3円切手はシマリスがデザインされている。スタンプショウ2015の会場では、各々50刷が税込2,160円で先行販売された。

新製品のカシオアートレリーフ マキシマム。税込2,160円で先行販売されていた

切手は、小さな芸術

今回、カシオ計算機 執行役員 デジタル絵画事業部長の寺田秀昭氏に、カシオアートレリーフ マキシマム開発について聞いた。寺田氏によると、カシオ計算機が日本郵便の協力を得て、切手ファンのためのカシオアート「ふみの日切手」を発売したのは2014年7月23日のこと。それ以来、同社では切手を"消費者の最も身近にある小さな芸術"と捉えて、商品展開を進めてきた。

カシオ計算機では、切手を"消費者の最も身近にある小さな芸術"と捉えて、商品展開している

日本郵便の発行する切手は現在、5人のトップデザイナーによりデザインされている。そのため、切手をモチーフにした商品を展開するにあたって、まずはトップデザイナーの方々にカシオアートを理解してもらう必要があったという。寺田氏は「当初、切手は有価証券だからライセンス化して商品にすることは難しい、と言われていました」と当時の苦労を振り返る。そこで寺田氏はいくつものサンプルを作り、カシオ計算機の3D印刷技術の精巧さ、図柄の表面が約2mm持ち上がることにより表現の幅が広がることなどを力説。すると、日本郵便切手・葉書室の貝淵純子さんをはじめとする、デザイナーの方々に徐々に受け入れてもらえるようになったという。

有価証券である切手をライセンス化して商品にすることは、大きな困難がともなった

しかし、寺田氏は「カシオアートを何万台売っていこう、ということを最終目標にしているわけではありません」と話す。すでにその先の目標を見据えているとのことで、「今回、スタンプショウ2015に参加した狙いのひとつは、切手の文化を全方位から知ることにもありました。時代の移り変わりを知り、いま何が求められているのかを探っています」と語る。

細やかな凹凸が実感できる、カシオアート。この日のブースでも、来場者に向けて「実際に触ってみてください」と積極的に呼びかけていた

そんな寺田氏が、商品の開発にあたって大切にしていることは「触る」という行為だという。「モノに触れた感覚というのは、いつまでも人の記憶の中に残ります。そこで弊社では、カシオアートを通じて触る文化、触るアートを研究し、追求していきたいと思っています」と説明した。

このほか、公益財団法人 日本郵趣協会の事務局長 松尾謙一氏にも、カシオアートレリーフ マキシマムについて話を聞いた。「切手ファンの男性には、昔、自分が頑張って集めていた切手、高価で手が出なかった切手、お気に入りの切手、思い出の切手などがある。それらをモチーフにしたカシオアートがあれば、大きな関心が向くのではないでしょうか。普段は大事に切手帳の中に入っている好きな切手が、いつもテーブルの上に飾られていたら。とても嬉しいと思います」(松尾氏)

現在、いくつものプロジェクトが動きつつあるというカシオアート。今後、どんな商品が開発されるのだろうか。楽しみに待ちたい。