本体のデザインもユニークだ。最終的に採用された三角形のデザインは、5つのデザイン候補のなかから選ばれた。「円柱を切り取った形状や、キューブ型などの候補のなかで、リビングに置いた際に、一番しっくりとくるものを選んだ」(細川氏)という。

LIFEBOOK GH77/Tの本体部分

社内アンケートを取り、未来感を感じるデザインであること、また、家のなかのIoTデバイスを統合するというコンセプトを実現する上で、「賢そうなイメージ」(細川氏)を持ったものが、このデザインだったという。

また、ディスプレイ部を外した際に置き去り感が残らないという点も考慮した。ディスプレイ部を外したあとの本体部には、富士通のシンボルマークである「インフィニティマーク」を点灯させ、鼓動を感じさせることもできるようにしたのも、独立した存在感を持たせるための工夫だという。そして、本体部は、ディスプレイ部の縦置きやタッチ操作に必要な強度を持ち、ドッキング時にも、震度5の振動にも耐えうるものにしているという。

「LIFEBOOK GH77/T」インフィニティロゴのデモンストレーション

内部パーツは立体的に配置

本体内部のレイアウト構造も、これまたユニークだ。基板はノートPC用の技術を活用。これを立体的に配置しているのが特徴となっている。空間をうまく利用して、基板を搭載しているのがわかる。

本体の内部構造。光ディスクドライブ、ハードディスクの搭載のほか、USBポートを4基搭載。さらに、SDカードスロットやHDMIポートなど、A4オールインワンノートに搭載されているものは、一切削らないという姿勢が貫かれた

また、小さいスペースの中で、もっとも効率的に指向性を発揮できるアンテナの配置や、より効率的に冷却を行うために特殊なヒートパイプを新たに開発。ヒートパイプは、既存のノートPCやデスクトップPCには見られない、三次元的な構造のものを採用している。そして、富士通がノートPCでもこだわっている後方排気の構造もLIFEBOOK GH77/Tでは採用した。

LIFEBOOK GH77/T用に新開発したヒートパイプ。スペースの関係上、基板から浮かせて配置する三次元構造を採用した

実は、LIFEBOOK GH77/Tには、約1TBのHDDを2基搭載している。これも省スペースを追求するなかでは、マイナス要素に働くものとなっている。容量だけを確保するなら、2TBのハードディスク1台の方が場所は半分で済むからだ。

「LIFEBOOK GH77/Tで提案したのは、家のなかのデータをすべて入れることができ、それを確実に保存するという点。そのために、2台のHDDを使って、自動でバックアップできるようにすることが必要だった。家庭内の中心に据えるPCを目指したからこそ、データの安全性についても配慮した仕組みにしている」(細川氏)という。

2基のHDDは、本体正面スペースの真後ろに内蔵

さらに、本体前面下部の小さなスペースには、カメラ、NFC、人感センサー、キーボードやマウスの受信部も配置してみせた。これも、ノートPCの開発ノウハウを活用したものだ。

本体前面下部の小さなスペースに、カメラ、NFC、人感センサー、キーボード・マウスの受信部を詰め込んだ

「デザイナーのこだわりもあり、本体前面下部を大きくすることはできなかった。その限られたスペースのなかに多くの部品を詰め込んだ点には苦労した」(三原氏)。スマホなどに搭載しているNFCを読み取りが行いやすい高さに設定するとともに、テレビ電話などの利用などにおいても、利用者の顔がきれいに表示できるようにカメラ位置も工夫したという。

そして、こんなところもこだわっている。本体後部のアームは、金属を採用しているように見えるが、ここにはアンテナが入っており、材料にはプラスチックを利用している。それをパール塗装して、金属のようにみせている。これがデザイン上のアクセントとなっている。「このパール塗装は、新規に開発した塗料によるもの」(三原氏)というから驚きだ。

本体後部のアームは、実はプラスチック製。特殊なパール塗装で金属の質感を再現した。写真は、複数作られた塗料違いのモックアップ