帯域を拡張するチャネルボンディング

無線LANでは2.4GHz帯、5GHz帯といった使用される帯域が、さらに20MHzずつの「チャネル」に分けられている。2.4GHz帯ではチャネル数が13、5GHz帯では合計19チャネルある。通常は1つずつ使うのだが、隣接するチャネルを複数束ねて使い、通常のチャネルの2倍、3倍と速度を上げていくのが「チャネルボンディング」だ。LTEにおける「キャリアアグリゲーション」と似た仕組みと言っていいだろう。

11nまでは20MHz+20MHz=40MHzまでのチャネルボンディングが使えたが、11acからは4チャネル束ねて80MHz、さらにオプションとして8チャネル束ねて160MHzのボンディングまでが規格に入っている。

2.4GHz帯の場合、隣接したチャネル同士では干渉が強く、影響を避けるためには5チャネル離す必要があり、チャネルボンディングを前提にすると実質1回線しか使えなかった。ところが11acが使う5GHz帯では、もともと隣接するチャネルどうしが干渉しにくいように確保されており、チャネル数も多いため、80MHzのボンディングでも5GHz帯全体で4回線、160MHZでも2回線確保できる。11acなら、安定した高速性能を期待できるわけだ。

今回はIEEE 802.11acを構成する技術要素について説明してきたが、次回は実際に11acをサポートする製品を紹介するとともに、無線LANルーターを使う上でのメリットやセキュリティといった注意点について紹介していこう。

(記事提供: AndroWire編集部)