カスペルスキーは4月24日、警察の犯罪捜査にビッグデータが活用された事例を同社のブログ「Kaspersky Daily」で解説している。

代表的な活用例として、都市の中で最も危険なエリアがわかるようになった。下の地図では、ロンドンの「犯罪多発地域」が赤色で示されている。

シアトルやニューヨーク、ロサンゼルスの警察でも同様の治安対策がすでに実施されている。特にロサンゼルスではめざましい改善効果が得られ、強盗が33%、暴力犯罪が21%、窃盗が12%減少した。

捜査を進める上でもビッグ―データが活用されている。具体的には、写真、FacebookなどのSNSの更新やチェックインの状況、不登校の状況、医学的所見、購買データ、街頭の防犯カメラの記録など、どんな小さなデータにも価値があるという。

データ分析がさまざまな傾向の解明にも役立っている。例えば、銃や弾丸が犯罪者の通貨代わりに使用されることが明らかになっているほか、SNS(特にFacebookとInstagram)には犯罪者自身の重要なデータがアップロードされており、貴重な情報源となっている。

分析システムで犯罪を予測

路上犯罪は分析システムで予測可能で、街頭での暴動やテロ行為の予測にも分析システムが能力を発揮するという。Forensic Logicは、逃亡中の犯罪者を分析システムを活用して発見した。分析は、ロサンゼルス郡にある約80の都市のデータベースからデータを集め、ある警察管区から次の管区へと犯罪者が潜行していることを突き止めたという。

ペンシルベニア大学犯罪学部の専門家チームは、地元の警察管区の報告など、さまざまなデータを基に犯罪を予測するアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは、殺人事件の被害者となる可能性のある人が洗い出され、警察がそのデータに基づいて、危険にさらされている人物に注意を呼びかけいる。

犯罪予測ソリューションを開発した企業で最も有名なのは、Palantirだという。Palantirは先ごろ、行政サービスから民間市場へ参入した。

Palantirの製品は、整理されていない大量の情報を処理するもので、DNAデータ、さまざまな情報源(街頭の防犯カメラの録画など)から記録した音声や動画、車の横転を監視するためのナンバープレートなど、世界各地のニーズに合ったオプションを多数展開している。

この製品はすでに数カ国でテロ防止に使用された実績を持ち、アフガニスタンで反政府組織による攻撃の予測にも使われた。また、米国の税関職員を殺害したメキシコ人の麻薬カルテルメンバーの所在も見事突き止めたほか、ダライ・ラマのPCにスパイウェアをインストールしたハッカーの追跡に成功した。

さらに、児童性的虐待者の逮捕に一役買ったという重要な事例もある。ニューヨーク市で起きたケースでは、街頭防犯カメラの動画に犯人が映っており、虐待から1時間と経たないうちに犯人が見つかったという。