続いて江戸東京博物館を訪れ、展示品のスナップ撮影を楽しんでみた。館内は薄暗く、ストロボ撮影は不可のため、高感度を積極的に利用したが、画質を損ねるノイズはあまり見られず、ノイズ低減処理による解像感の低下も気にならない。

絞り優先AE(F6.3 1/30秒) ISO1600 WB:オート 焦点距離:189mm

絞り優先AE(F5 1/60秒) ISO800 WB:白熱電球 焦点距離:76mm

絞り優先AE(F4.5 1/40秒) ISO1600 WB:オート 焦点距離:29mm

次の写真は、ピクチャースタイルを「モノクロ」にして撮影した。その次のカットではホワイトバランスを「日陰」にセットして夕日の赤みを強調した。EVFを通して、こうした各種機能による発色の調整結果をリアルタイムで見られる点が便利である。光学ファインダーに勝るメリットだ。

絞り優先AE(F2.6 1/25秒) ISO400 WB:オート 焦点距離:66mm

マニュアル(F8 1/1250秒) ISO100 WB:日陰 焦点距離:78mm

今回の試用では、EOS M3にズームレンズ2本という軽装備のスタイルで、散歩がてらのスナップを十二分に楽しむことができた。小型軽量ながらマニュアルをはじめとする各種撮影の自由度がある。多くの場所で狙いどおりの写真を撮ることができ、満足感は高い。

画質に関しては、新開発センサーによる高解像の表現力と、シーンを問わず安定感のある発色性能、新エンジン「DIGIC 6」による低ノイズ性能を確認できた。数あるミラーレスカメラの中でも、ハイレベルな画質といっていい。

惜しいのは、AFが既存モデルに比べて確実に高速化したのだが、それでもまだ十分に快適とはいえないこと。明るい場所での風景撮影なら問題ないが、薄暗いシーンや動体撮影には力不足を感じる。適宜マニュアルフォーカスに切り替えるなどして対応したい。

チルト可動液晶とオプションのEVFについては、構図の幅を広げる仕掛けとして大いに役立った。軽いフットワークで持ち運び、凝ったアングルでの撮影が気軽に楽しめるカメラ、といっていい。

既存モデルに比べて約一回り大型化したが、それでも携帯性は悪くない。グリップ部は凹凸が大きくなり、ホールドバランスが向上している

ISO感度別の撮影。左上から右に向かってISO100/200/400/800/1600/3200/6400/12800/25600で撮影