警視庁は4月10日、ネットバンキングを狙ったウイルスの無力化作戦を説明したWebページを公開した。

同庁によると、2014年におけるネットバンキングの不正送金被害は1876件、被害額が約29億と過去最悪を記録した。不正送金の多くは、ボットネットと呼ばれるウイルスに感染したPCのネットワークが関係している。あるPCがウイルスに感染していると、そのPCを経由して他のPCを感染させたり、C&Cサーバーとしてデータを経由する踏み台とされるケースが存在する。

今回、警視庁では、日本のネットバンキングを利用するユーザーを狙ったボットネットを撲滅する「ネットバンキングウイルス無力化作戦」を実施。全世界で約8万2000台、国内だけでも約4万4000台存在する感染端末を特定し、不正送金被害を防ぐための対策を行った。

ウイルス感染端末の世界分布

こうしたボットネットの撲滅作戦は、世界規模で行われており、3月にもシマンテックやマイクロソフトらがRamnitボットネットのテイクダウンを行っている。しかし、今回の無力化作戦は日本独自のもので、初の試み。総務省やTelecom-ISAC Japanと連携して、感染PCの利用者に対してウイルスの駆除依頼も行っている。

こうした取り組みのたびに言われていることではあるが、PCのウイルス感染は、自分自身が被害に遭うだけではなく、他人の金銭的被害などにも寄与してしまう恐れがある。そのため、ウイルス対策ソフトの導入やPCのOS、利用しているソフトウェアを常に最新の状態に保つことで、セキュリティリスクを抑えるよう警視庁では呼びかけている。