また、ひとたび計算をすると大きな騒音が生じていたという。14-Aはそのデメリットを解消した製品で、1回の乗除算にかかる時間も、それまでの常識だった10秒から5、6秒にまで短縮することに成功している。

入力はテンキー方式(写真左)。この数字の並び方が、現在の電卓にも引き継がれている。背面にまわると、341個のリレーを確認することができた

実際に稼働させると、カタカタという静かな音で計算が始まり、数秒で計算結果が表示された。四則演算はもちろんのこと、自乗の計算にも対応。続けて掛け算をする時には画面を2分割して現在の積と累積を同時に表示させることもできる。このほか、定数をダイヤルにセットして記憶することも可能だ。14-Aの価格は48万5,000円で、現在の何百万にも匹敵した。にもかかわらず官庁や研究所、大企業などを中心に売れたという。

画面を2分割で表示できる(写真左)。ダイヤルに定数をセットすることも可能

このほか、カシオの電卓の出発点となった「001」や、思い切った小型化と低価格化により一般家庭にも急速に普及した「カシオミニ」などの記念碑的な製品も展示されていた。

最初のカシオ電卓である001(写真左)と1万2,800円という低価格で爆発的な人気となったカシオミニ

電卓の進化についておさらい、最新製品もチェック

カシオ計算機の担当者による電卓の進化についてのプレゼンテーションも行われ、現在の最新製品も紹介された。

1965年に発売された001の消費電力は40W、重量は17kgだった。1983年に発売されたカシオの電卓「SL-800」は、001に比べて消費電力は200万分の1に、重量は1400分の1になったという。

技術の進歩により、消費電力は200万分の1に、重量は1400分の1になった

カシオの電卓の累計販売台数は、2006年12月に10億台を達成。現在も発展途上国への販売や、多機能電卓の開発などにより需要が伸び続けている。カシオ計算機では、電卓のトップメーカーとして今後とも身の周りの様々な計算をサポートしていきたいとしている。

水回り、埃の多い場所でも安心して使用できる防水・防塵電卓「WM-320MT」。キー部分を外して丸洗いできる

測量計算の現場で使える「fx-FD10 Pro」(写真左)と、中国で販売している計算内容を中国語で読み上げる「DY-120」(写真右)。DY-120は、計算に間違いがないか店員と客が一緒に聞いて確認できる

スマートフォンのような外観の、グラフ関数電卓「fx-CG20」。グラフをカラーで表示できるので表示を色分けするなどして、数学への理解が深まると学生に人気だという