任天堂とディー・エヌ・エー(DeNA)は17日、スマートフォンなどのスマートデバイス向けのゲームアプリの開発や会員制サービス運営のための基幹システムの構築を共同で行うと発表した。グローバル市場をターゲットに、会員制サービスは今年秋の稼働を目指し、任天堂がスマホゲーム市場に参入する格好だ。さらに今後を見据えて両社は資本提携。DeNA発行済み株式の10%、約220億円分を任天堂が第三者割当で取得するとともに、任天堂の同1.24%、約220億円分の株式をDeNAが第三者割当で取得する。
今回の業務提携では、まずスマートフォンやタブレットという「スマートデバイス」向けに任天堂のキャラクターやコンテンツといったIP(知的財産)を活用したゲームアプリの共同開発・運営と、任天堂の新会員制サイトの共同開発を行う。
任天堂は1983年のファミリーコンピューター以来、家庭用ゲーム機や携帯型ゲーム機というゲーム専用機を開発し、そこに自社開発のゲームを提供してきた。昨今はスマホゲームが普及し、世界的なヒットタイトルもいくつも登場している。DeNAが運営する「Mobage」でも「昨年、内製でヒットタイトルを創出できた」(DeNA・守安功社長兼CEO)という状況で、「手応えを感じている」(同)としつつ、ゲームアプリ市場は競争が激しく、ユーザーのプレイ時間も限られているため、ユーザーにリーチする「明確な差別化要素」(同)を必要としていた。
そうしたなか、任天堂はスマホゲームへの参入には慎重な構えを続け、「スマホゲームを禁じ手にしない」(任天堂・岩田社長)としてきたが、「コンテンツ価値が容易にデフレ化し、消耗しがち」「コンテンツの新陳代謝が激しく、個々のコンテンツの寿命が短くなりがちで、コンテンツ価値の維持が容易ではない」という観点から参入を控えてきた。
これに対して、「ようやく任天堂なりの答えを出せた」(同)として、今回の提携による参入にいたったという。スマホゲームにはいくつかビッグヒットのタイトルがあり、「世間一般には楽に儲かるビジネスと認識されている」(同)が、岩田社長は「競争環境が厳しく、持続的に成果を出している事業者はほんの一握り」と指摘。「そこで勝者になれなければ参入する意味がない。やるからには絶対の勝算を持って臨みたい」と岩田社長は意気込む。