ゲッティ イメージズは2月19日、写真に関わる権利や入手方法などをレクチャーする「写真素材のイロハ、教えます! 写真を活用した制作に関する著作権セミナー」を、東京都・原宿の同社内プレゼンテーションルームにおいて開催した。ここでは、その模様をレポートする。

写真素材のイロハ、教えます! 写真を活用した制作に関する著作権セミナー

業務的なWeb制作はもとより、個人ブログやSNS等においても、Webページに掲載した画像がもとでトラブルに発展することがある。インターネット上から「拾った画像」を使用するのはもってのほかだが、「フリー素材」をうたっている画像まとめサイト中にも、出所のはっきりしない画像が含まれているケースがあるので注意が必要だ。

このセミナーでは、ゲッティ イメージズ ビジネスプロモーション部 アカウントエグゼクティブ・今井愛爾氏が講師を務め、写真やイラストなどの素材を用いてマーケティングや営業、広告活動を行っている参加者が集い、写真に関わる権利や入手方法ごとのメリット/リスク、ライセンスなどを学んだ。

セミナーの講師を務めた、ゲッティ イメージズ ビジネスプロモーション部 アカウントエグゼクティブ・今井愛爾氏

セミナーには、写真素材を用いてマーケティングや営業、広告活動を行う参加者が集った

写真には"ふたつの権利"が存在

セミナーの最初のテーマは「写真に関わる権利」について。主にふたつの大きな権利が存在し、ひとつめはその写真を撮影した「カメラマンの権利」(著作権)で、ライティングやレンズの選択、露出やシャッター速度、構図など創作性が認められる"表現"に関して与えられるものだ。平成13年の「スイカ写真事件」(スイカの構図が類似しているとして著作権侵害が認められた判例)をきっかけとして、「構図」にも著作性が認められるようになったという。

写真を撮った「カメラマンの権利」(著作権)

ふたつめは、人物の権利(肖像権やプライバシー)や建築物、クルマなどモノに関わる権利など「被写体の権利」だ。今井氏は、これらふたつの権利をクリアする方法に関して、まずカメラマンの権利については、「許諾を取る」、「著作権使用ライセンスを購入する」、「著作者表示」という3点を紹介した。

次に、被写体の権利については、「許諾を取る」、ストックフォト業者の「免責補償を受ける」ということを挙げ、さらに決して"クリア"したとは断言できないと前置きしたうえで、「自己責任利用」を挙げた。「自己責任利用」としては、例えば遠くから撮影された写真のように人物を特定できないものを"風景の一部"としてみなし、自己責任で使うケースを想定しているという。

人物や建築物、モノに関わる「被写体の権利」

ふたつの「権利」をクリアする方法

写真はどこから入手すべきか?

では、安心して利用できる写真はどこから入手すればいいのだろうか? ここで今井氏は「皆様は写真をどこから入手していますか?」と問いかけ、聴講者からは「素材集」や「ストックフォト」、「メーカーから支給される」、「無料の素材サイト」などの回答が挙がった。

写真の入手方法あれこれ

今井氏は、「インターネットで入手」、「自分で撮影」、「プロに撮影を依頼」、「支給される/既に持っている」、「有料ストックフォトから購入」という5つの入手方法を例に、それぞれの「著作権」や「被写体の権利」、「コスト」、「写真の質」、そして「入手時間」のバランスをわかりやすくまとめたグラフを示した。

最初の「インターネットで入手」については、ブログの記事やまとめサイトなどで見つけた画像を右クリックで保存したり、SNSや画像共有サイト、無料素材サイトなどから入手する方法のことだ。無料かつ手軽なので「コスト」や「入手時間」については最高点であるが、写真の出所(著作権の所在)がわからないものが多いため、「著作権」や「被写体の権利」については最低点となり、バランスの悪さが際立つグラフとなった。

「インターネット」からの入手は「著作権」と「被写体の権利」が最低点

社内プレゼンやイメージボードなども「商用利用」にあたる

ちなみに、無料素材サイトで配布されている写真には、使用条件として「非商用利用に限る」と書かれている場合がある。この「商用利用」の意味は多義的だが、ゲッティ イメージズでは、同社が提供する写真については、クライアントのプロモーション用途で使用する場合はもちろんのこと、社内でのプレゼンテーションやイメージボードなど内々での使用を含め、報道目的以外の用途すべてを商用利用とみなすとしている。

次に「自分で撮影」については、「著作権」や「コスト」に関しては最高点であるが、「写真の質」(個人差はある)や「被写体の権利」については最低点としていた。また「プロに撮影を依頼」については「写真の質」や「著作権」はもとより「被写体の権利」についてもすべて一任できるため、それらは最高点であるものの、それなりの「コスト」と「入手時間」が掛かるため、それらについては最低点となった。

「自分で撮影」は「写真の質」が低い

「プロに撮影を依頼」は「コスト」と「入手時間」が難点

続いて「支給・手持ち素材」は、「コスト」に関しては最高点とされているものの、「著作権」や「被写体の権利」は実はハッキリしないケースもあり、万が一トラブルになった際は制作者が責任を負わなければならないケースもあるとして最低点が付けられた。

最後に「有料ストックフォト」については、「著作権」や「被写体の権利」も安心で「写真の質」も高く、「入手時間」も検索すれば短時間で見つかるなど、「コスト」を除くすべてのポイントが高得点であるとしたうえで、ストックフォトの利用が総合的に最もバランスの良い入手方法だと述べた。

「支給・手持ち素材」は「著作権」や「被写体の権利」に不安

「有料ストックフォト」は「コスト」以外は高得点

総合的に最もバランスの良い入手方法は「ストックフォト」