この時期になると、個人事業主にとって頭が痛いのが確定申告。もちろん、売上などの金銭の流れも大切だが、確定申告を決定するもう1つの要素、「経費」を入力するのも大変だ。そこで、特に帳簿を付けるのが初めてという人が迷いがちな「経費」についてまとめてみたので、紹介しておこう。

どこまでが「必要経費」なの?

経費を簡単に説明すると、「事業で使うお金」ということになる。新聞や雑誌も、事業に必要な情報を入手するためであれば経費として認められるので現金出納帳へ記入できる。この他、自家用車のガソリン代や家賃、水道光熱費、通信費というものでもケースによっては経費とすることができる(後述)。また、ゴルフ代や野球の観戦費用も、得意先からの誘いで断れないようなケースであれば計上することが可能だ。

注意しなければならないのは、プライベートで使ったお金や家族のために支払ったお金を経費として計上してしまうこと。後日税務調査があった場合、追求されるだけでなく、ケースによっては「脱税」として扱われることだってある。普段から、財布を2つ用意して、プライベート用、事業用と分けるぐらいの管理が必要になる。経費はどんな用途に使ったのかを考えて計上していくようにするとよい。

食事代は経費になる?

事業目的での飲食なら経費になる。ただし、この場合も誰とどんな目的で食事をしたのか、という部分で勘定科目が変わるので注意。例えば、取引先とお酒の入った食事をしたらそれは接待交際費になる。また、一人あたり5,000円以下の食事の場合は会食費など、他の科目でも経費として計上できるという違いがある。

ちなみに接待交際費とは一定の制限がある科目で、資本金1億円超の会社の場合は接待交際費の50%しか計上できず、それ以外であっても800万円を超える部分は経費として認められない。

個人事業主や小規模法人が800万円を超える接待交際費を使うケースはほとんどないので、事業絡みの飲食であればすべてを接待交際費にしても問題はないが、きちんと区別しておいたほうが整理しやすいはずだ。

スーツを買ったけど経費で落とせる?

2013年に節税制度ができ、スーツが節税になるという噂が立った。実際にできるかといえば可能だが、会社が仕事で着用することを証明する必要があることや、確定申告をしなければならないこと。そもそも節税に基準額が決められており、年収400万円ならスーツの購入金額が67万円以上超える必要があるなど制約が多い。さらに節税したとしても数千円単位となるケースが多く、実際にこの制度を使う人は少ない。

自家用車を仕事に使いたい

新規事業を起ち上げた当初に営業車を購入できる企業は少ない。そうした場合、自分が所有している車を使って事業をこなすということがほとんどだろう。これには「按分」という考え方があり、プライベートと事業の割合に応じて、車両のローン残高、自動車税、ガソリン代などをそれぞれ分けて計上するのが一般的だ。

具体的には勘定科目に「車両費」という項目を設けておき、車に関する費用の一切すべてをそこへ計上しておく。すると確定申告の際に分けるのも楽なのでオススメの方法だ。ただし、事業のみに使った駐車料金や高速代といった費用は、あらかじめ旅費交通費に入れておいてもよい。

もう一つの方法に会社が車を買い取るというやり方もある。社長の所有車を会社名義にするのだが、その際の買取費用が社長の所得税となるため、返って計算が難しくなることもあるので注意していただきたい。

自宅兼事務所はどうするの?

経費の考え方を当てはめて、プライベートな空間と事業で使う空間を分けるようにすればよい。例えば、100平方メートルの自宅で40平方メートルの部屋を仕事に使っているのであれば、事業用として自宅40%の割合で家賃や水道光熱費を分担して経費とする。 自宅が賃貸であれば家賃も事業用とプライベート用に分けて処理することができる。社長の持ち家の場合は、相応額を割って会社が社長に家賃を支払うことになる。ただし、この場合は家賃は社長の収入になるので、別途個人の確定申告が必要だ。

領収書のもらい方は

領収証は経費として処理するための証明書のようなもの。必要事項はしっかりと書いてもらうようにしないと、計上したはよいが認められないこともある。基本的には、宛名、日付、金額、品目、支払い先および認め印があればよい。ちなみにこの要素を満たしていればレシートでも構わない。

気を付けたいのは、社名、日付、品目を明確にすること。社名は「上様」ではなく自社名、日付は空欄ではなく発行日、品目はなるべく現実に近いものを、それぞれ書いてもらおう。相手が気を使って、「空欄にしておきますか?」などと聞いてくることもあるが、実態と沿わなくなると、内容を忘れてしまうこともあるので、できるだけ正確に発行してもらうクセをつけておくとよい。

また、平成26年4月より、それまで3万円以上の買い物をした場合には収入印紙が必要だったが、今では5万円以上からと収入印紙貼付の上限が上がっている。5万円以上の買い物や飲食などをした場合は印紙と割り印をもらうようにしてほしい。

交通費はどこまで認められる?

電車代やバス代などはよく使うのに領収証が出ないケースがある。しかし、これも経費として計上できるので、まめに入力しておきたい項目だ。得に少額負担の場合に忘れがちになる交通費だが、旅費精算書のような書式を用意しておくと安心できる。何の目的で、どこからどこまで行って使った交通機関と料金を書き込むだけのシンプルなもので構わない。この精算書をもとに、旅費交通費として経費にすれば、損のない計算ができる。

また、SuicaをはじめとするICカードも事業で使う分には交通費として扱える。厳密にはチャージした金額を会社から借り入れて、事業で使った分だけ経費として計上するのが正式なやり方。面倒な人は、ICカードを使ったら、旅費精算書にそのことも記載するようにしたり、履歴サービスを利用するなど、プライベートと事業をきっちり分けて運用すればオッケーだ。

新規事業用に名刺を作ったのだけど
名刺も事業用なので経費として落とすことができる。名刺も会社と人を知ってもらうための道具なので、広告宣伝費として計上すればよい。

まめな入力が経費節約の最大のポイント

さて、覚えてしまえば簡単だが、知らないと損をするポイントを紹介していったがいかがだろう? 経費の計上はついつい忘れがちになることが多い。手作業で領収証とにらめっこしている方は、特にその傾向が強くなる。

ソリマチ 会計王16

一番の方法は会計ソフトを使って、小遣い帳感覚で記憶が新しいウチにどんどん入力しておくこと。

直感的に操作できる画面が特長の「ソリマチ 会計王」などは、特に入力項目や科目が分かりやすいのでオススメだ。今回の記事のように、面倒な経費と家事関連費の振り分けは「家事関連費計算表」で家計分の割合か金額を設定することで一括して「経費」と「家事関連費」に振り分けることができる。個人事業者と法人の入力に対応しており、個人事業者が将来法人化する際にも買い換えずに使用することができる。

定価4万円(税別)と、割と高価なソフトだが、2万円台で販売している販売店もあり、さらに今なら、1万円のキャッシュバックや無償電話サポート、次期製品無償提供などのキャンペーンを実施しているので、お買い得だ。面倒なことが嫌いな人は、会計ソフトを使って、楽に経費を入力して、確定申告を乗り切ってほしい。