説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「公衆無線LANはは今後もiPhoneに必要ですか?」という質問に答えます。

iPhoneを扱う国内通信キャリア3社が「1カ月に7GBまで」という通信量規制を実施している現在(旧プランが対象。契約状況や利用端末により制限の有無等異なる場合もある)、その制限に影響を受けないWi-Fi通信を外出先でも利用できる公衆無線LANサービスは、あるに越したことはありません。3社すべてがiPhoneの契約者に公衆無線LANのサービスを実質無料で提供していますから、利用しない手はないでしょう。

とはいえ、公衆無線LANが今後も必須のサービスであり続けるかどうかは疑問です。各社とも4G(LTE)回線網の拡張を順調に進めており、3Gに比べ容量/通信速度とも大幅に改善された結果、これまで「オフロード対策」として重要視されてきた無線LANのポジションが相対的に低下したためです。セルラー回線というひとつのネットワークだけで、iPhoneを含むスマートフォンのデータ通信を快適に提供できるのであれば、それに越したことはないからです。

スマートフォンでいうところのオフロード(負荷軽減)とは、データ通信で生じる膨大な量のトラフィックをセルラー回線から無線LAN回線に迂回させることを意味します。無線LANスポットは、光ファイバーなど有線のインターネット網につながっているため、セルラー回線に比べて圧倒的なデータ受容量と安定した通信を実現できます。 さらに、LTEでは複数の周波数帯を1つにまとめて通信できるようにする「キャリアアグリゲーション(CA)」と呼ばれる技術により、通信の効率化をさらに進める余地があります。CAの普及が進めば、公衆無線LANスポットが不要とはならないまでも、投資額が抑えられても不思議ではありません。

もっとも、「1カ月に7GBまで」のような制限は程度を変えるにしても存続するでしょうし、ましてやセルラー回線が青天井で使い放題になることもないでしょう。公衆無線LANスポットの増加ペースは穏やかになるにしても、スマートフォンのトラフィック増大傾向は今度も続くでしょうから、速度規制適用に備えたユーザ自身のオフロード対策として今後も重要な役割を果たすのではないでしょうか。

通信キャリア各社がオフロード対策として進めてきた公衆無線LANサービスの拡充は、LTEの普及と強化で曲がり角を迎えそうです