先週「古いAndroidのサポート終了か」といったタイトルの記事がインターネットを騒がせたようだが、調べて見ると、あるブログ記事が元になっていて、元ブログは「炎上マーケティング」のようにも思える。どうして大手ニュースサイトまでこんな記事を扱う? というレベルの記事であり、それに追従するバイラルなサイトの「煽り」もあって、ちょっとした騒ぎになっている。

問題が大きくなったのは、「Googleが9億台のアンドロイドを見捨てた」といった表記があったからだが、そもそも、出荷されたスマートフォンやタブレットをサポートするのは出荷したメーカーや販売した事業者であり、Googleは直接サポートしていないため、そもそも「見捨てる」ことは「不可能」である。もともとサポートしていないのだから、グーグルが「サポートしない」と言ったからといって「見捨てた」というのは正しくない、というか完全に論理的な「誤り」である。

グーグルはAndroid 4.3までの端末を見捨てたとされるが……

こうした理論が許されるなら、世の中で起こるすべてのことをすべて、誰か一人の責任にできてしまう。「××君が死んだのはお前が見守っていなかったからだ」と言われても、そもそも自分と無関係の××君が誰で、どこに居るのかも知らないのなら、見守ることはできないし、見守る義務もないが、「見守っていなかった」という主張は、論理的には間違っていない。「お前が止めないから戦争が起こった」、「お前がやらないから日本が不況になった」など、どんなことでも主張できてしまう。こうした理論を使いセンセーショナルな記事を作るのが「炎上商法」の1つの手法である。

そういう意味で、この記事は単に世間を騒がすだけの「炎上狙い」と言っても過言ではなく、それを伝えたメディアも「同罪」というべきものだろう。

いくつかのニュースで、情報源とされているのは、Rapid7という米国のセキュリティ関連企業のサイトにあるブログ記事。いくつかのニュースでは「研究者」という表現がとられているが、少なくともブログのプロフィールにはそのような表記はなく、メールアドレスなどから、Rapid7の社員か関係者と思われる。まあ、個人ブログだと考えれば、無責任な記事というレベルで片が付く話なのだが、大手の商業サイトなどがこれを元に記事を作成したために大きな騒動となった。

最近では、こうした記事に多くのバイラルサイトが群がり、話を大きくしていく傾向がある。ちゃんとしたニュースサイトなら元ネタの検証や正確な表現を行うべきだろう。