「毎日遅くまで残業する仕事熱心な社員」──こういった評価は、日本では長らく当たり前だった。しかし昨今ではワークスタイル変革が叫ばれるようになり、仕事にかける時間よりも効率性が重んじられるようになった。そうなると、むしろ残業の多さはこれまでとは逆に、その人の“能力の低さ”の表れとも捉えられかねい風潮になりつつある。そして企業側にも、社員に対してむやみに残業を強いる"空気"を廃し、休める時にはきちんと休んで、家庭や趣味、そして自己啓発につなげるよう促すワークライフバランスの充実を目指す動きが生まれてきている”。
そこでマイナビニュースでは、日本の会社員の宿命とも言えるこの残業の実態を把握すべく、2014年11月6日から11月7日にかけて会社で働いている会員300名を対象に「残業に関するアンケート」を実施した。その結果から残業の問題点と解決策を考察してみよう。
「無駄な残業」が7割も!
まず1ヶ月の残業時間だが、1~20時間が41.7%と最も多く、これに21~40時間の26%、そして0時間と41~60時間がそれぞれ14%前後で続いている。だいたい毎日2、3時間を残業に費やしているというのが、日本の平均的な会社員の姿のようだ。それとともに、残業がまったくない会社員と日々かなりの残業をこなしている会社員という、両極の人々もそれなりの割合で存在していることもわかった。
そして興味深いのが、残業が発生する主な理由についての回答である。最も多かったのはやはり「業務量が多い」で64.3%に達している。しかしそれ以降は、「自身の能力不足」19.7%、「会社の風土」15.7%、「管理職のマネジメント不足」10.3%、「業務フローの未整備」10%、「従業員の能力不足」7.3%、「業務システムの未整備」6.7%と続いているのだ。つまり、あまり必然性のない──もっとはっきりと言えば「無駄な残業」の割合が、すべての残業のうち7割も占めているようなのだ。
これまでにも、欧米諸国と比べた際の日本のホワイトカラーの生産性の低さはかなり問題視されてきたが、決定的な改善策は未だ見いだせていない。どうやら日本企業の生産性を高めるためには、蔓延する残業にメスを入れる必要がありそうだ。
「ノー残業デー」の人気が意外と低いのはなぜ?
社員の生産性と生活の質、双方の向上を目指す取り組みとして、既に様々な企業で実施されているのが「ノー残業デー」だ。アンケートによると4割強の人々が勤務先にノー残業デーが「ある」と回答している。そしてノー残業デーを実施している企業の8割近くでは、その狙い通り残業なし、もしくは普段よりは早く帰ることができているようである。
そんなノー残業デーだが、意外にも思ったほど人気は高くないようだ。ノー残業デーを「欲しいとは思わない」という意見が6割近くにもなり、4割そこそことなった「欲しいと思う」人の割合をはるかに上回っているのだ。どうしてこのような結果になったのか──そのヒントは自由回答欄に見出すことができる。目立った声が「いちいち上司から指示されるのが嫌」「一日だけでは意味がない」「どうせ形骸化する」「結局みんな帰らない」といったものだ。つまり、ノー残業デーの運用に対して疑問を抱く人々が多いのである。
そこで改めて求められるのが、経営トップ自らが“残業を減らしワークスタイル変革を進めていく”という明確な意思を示すこと、そして現場で曖昧にならないよう制度やソリューションによってきっちり定時に業務を終わらせる工夫などではいだろうか。ITの活用が急速に進んだことで、私達の仕事の多くが以前と比べて大幅に効率化できるようになっている。そうしたせっかくの土壌を生かさずにいたのでは、社員はいつまでも無駄に会社に時間を拘束され、そして会社も非効率なまま競争力を失っていってしまいかねない。そうならぬように「残業を減らす」という観点から、もう一度自分自身、そして組織全体の仕事の効率性について見なおしてみてはいかがだろうか。
調査時期:2014年11月6日~2014年11月7日
調査対象:マイナビニュース会員 企業で働いている方限定
調査数 :300名(男性128名、女性172名)
調査方法:インターネットログイン式アンケート
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