KDDI版はギーク向け?

海外では、すでにFirefox OSを搭載した端末は販売されている。主に新興国を中心に、低価格端末が多いのが特徴だ。2013年2月には世界17の通信事業者と4メーカーが参入を発表していたが、すでに通信事業者は20を超え、すでに複数の端末が販売されている。

安価な端末ということで、スペックとしてはあまり高機能でない端末が多い。開発者向け端末のFlameは、Qualcomm Snapdragon MSM8210 1.2GHzデュアルコアプロセッサ、4.5インチ854×480ピクセル液晶、RAM 最大1GB、ROM 8GBを搭載するため、決して低スペックではないが、グローバルでは低スペック端末が主流だ。

現在のスマートフォン市場は、先進国では高機能端末が強いが、売れ行きは鈍化している。それに対して、新興国では旺盛な需要で販売が急増しており、その多くは低価格端末だ。もともと、それを見越して開発されてきたという点もある。

とはいえ、日本で出すにあたって、低スペックの低価格端末は難しいだろう。もちろん、Firefox OSも「低価格端末だけのためのOS」ではない。今年に入ってクアッドコアプロセッサを採用した端末も登場、パフォーマンスとしては十分となり、KDDIもハイエンド端末を投入する意向を示している。KDDIの田中孝司社長はこれまで、同社の端末は「ギーク向けになる」といった紹介の仕方をしており、既存のFirefox端末とは異なる端末になることが予想できる。

クアッドコアプロセッサを搭載したFirefox OS端末ALCATEL ONE TOUCHの「Fire S」。2014年9月の家電関連展示会「IFA 2014」で撮影

こちらは低価格端末の「Fire E」。同じくIFA 2014で撮影

単に高機能な端末にはならないということだろうと思われるが、実際の端末を見てみないと分からない。今までKDDIは、キーボード付きのAndroid端末を出したり、Windows Phone端末を出してみたりと、実験的な製品も投入してきている。その辺りは期待したいところだ。

逆に言うと、ほかの人と同じようにスマートフォンを使いたい、アプリを使いたい、という希望にはそぐわない端末が出る可能性もある。KDDIは、Windows Phone端末を1機種しか投入しておらず、Firefox端末が同様の結果に終わってしまう可能性もある。

日本市場でFirefox OSが受け入れられるかどうか、KDDIの施策に注目したい。