MVNO各社が提供する、いわゆる"格安SIM"と呼ばれるサービスが注目を集めている。最近では、格安SIMカードとスマートフォンをセットで販売する"格安スマホ"も人気だ。そこで本稿では、Android 4.4を搭載した4.7インチのスマートフォン「LG G2 mini」(LGエレクトロニクス製)と格安SIMカードをセットで提供している4社のサービス内容を比較してみた。同一の端末をセット提供している4社だが、どこが"お得"に運用できるサービスなのだろうか?

本稿では、格安SIMカードとAndroidスマートフォンLG G2 miniをセットで提供する格安SIMサービスの内容を比較する

LG G2 miniと各社のサービス内容をチェック

本稿では、次の4社が提供する4つのプラン・サービス内容を比較する。比較対象はハイホーの「hi-ho LTE typeD ミニマムスタート with G2 mini 【LTE】」、NTTコミュニケーションズの「OCN モバイル ONE」、日本通信の「b-mobile SIM LG G2 mini スマホ電話SIM フリーData」、ビッグローブの「LG G2 mini for BIGLOBE」。いずれもLG G2 miniと格安SIMカードがセットで提供されている。

4.7インチのディスプレイを搭載したLG G2 mini。端末のサイズは約129.6(H)×66.0(W)×9.8(D)mm、重量は約121g

はじめに、LG G2 miniについて軽く触れておきたい。LG G2 miniは、4.7インチqHD IPS(960×540ピクセル)ディスプレイを搭載したスマートフォン。CPUはクアルコム製のSnapdragon 400 / 1.2GHz クアッドコアを採用。ROMは8GB、RAMは1GB、外部メモリは最大32GBのmicro SDHCカードに対応する。内蔵バッテリーは2,370mAhで、背面に有効画素 約800万画素メインカメラ、前面に約130万画素のフロントカメラを搭載する。OSはAndroid 4.4(KitKat)だ。

最新機能を備えた端末とは言えないが、通話やWeb閲覧、テザリングなど一般的な用途においては、「十二分なスペック」と言ってよいだろう。

カラバリは、インディゴブラック/ ルナホワイトの2色で展開する。3G回線(2GHz帯/ 800MHz帯)、LTE回線(2GHz帯/ 1.7GHz帯/ 800MHz帯)で通信を行える

それでは、続いて、LG G2 miniとセットで提供される各社の格安SIMサービスの内容をチェックしていこう。

・hi-ho LTE typeD

まず、ハイホーの「hi-ho LTE typeD」シリーズから。hi-ho LTE typeDは090/ 080で始まる電話番号による音声通話に対応しており、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)転入にも対応する点が特徴。LG G2 miniで音声通話およびLTE通信を利用したい場合、最安値は「データ通信専用SIM」(月額2,280円)+「音声通話対応」(月額700円)=2,980円/ 月となる。このほか、月に2GBまでのLTE通信が無料で利用できる点もポイントだ。このほか、月間通信容量は200円/ 100MB~から追加可能。なお、音声通話料金は20円/30秒の従量料金制となっている。

・OCN モバイル ONE

NTTコミュニケーションズ「OCN モバイル ONE」は、データプランとして70MB/ 日、100MB/ 日、2GB/ 日、4GB/ 日、14GB/ 日の5コースを提供する点が特徴。LG G2 miniとのセットで最安値となるのは、70MB/ 日のプラン(月額900円)+端末代金(月額1,380円×24回払い)=月額2,780円だ。なお、090/ 080で始まる電話番号による音声通話には対応していない。別途150円/ 月で「050 plus」によるIP電話サービスを提供している。10月1日よりバンドルチャージを増量するキャンペーンを実施している。

・スマホ電話SIM フリーData

日本通信のb-mobile SIM「スマホ電話SIM フリーData」は、090/ 080で始まる電話番号による音声通話に対応しており、MNP転入にも対応する。LG G2 miniで音声通話およびLTE通信を利用したい場合、最安値は「端末代金」(月額1,420円×24回払い)+「音声通話月額基本料」(1,560円/ 月)+「データ通信量が1GBのプラン」(340円/ 月)=3,320円/ 月となる。データ通信量の上限は1GB(340円/ 月)/ 2GB(950円/ 月)/ 3GB(1,560円/ 月)/ 7GB(2,420円/ 月)から選択可能。音声通話料金は20円/30秒の従量料金制。スマホ電話SIM フリーDataでは、1年継続オプションを申し込むと毎月1GBを無料で追加できる。

・BIGLOBE LTE・3G

最後にビッグローブの「BIGLOBE LTE・3G」をチェックしたい。BIGLOBE LTE・3Gは090/ 080で始まる電話番号による音声通話に対応しており、MNP転入にも対応する。LG G2 miniで音声通話およびLTE通信を利用したい場合、最安値は2,980円/ 月となる(データ通信量が1GBのプランを選択時)。データ通信量の上限は2GB/5GB/8GB/10GBから選択可能。月間通信容量は300円/ 100MBで追加できる。音声通話料金は20円/30秒の従量料金制となる。

コスパが良いのはどこのサービス?

既述の通り、本稿ではLG G2 miniと格安SIMカードをセットで提供する4社のサービスを比較してきた。OCN モバイル ONEのプランは「090/ 080の電話番号で音声通話できない」「MNP転入に対応しない」などの利用制限があった。音声通話に対応するのは、ハイホー、日本通信、ビッグローブの3社のプラン。このうち最安プランが一番安いのはハイホー、最安プランの通信容量の上限が一番多いのもハイホーとなっている。

続いて、各社の提供するオプションについてもまとめてみたい。OCN モバイル ONEでは、150円/ 月で050 plusによるIP電話サービスを提供。SMSは120円/ 月で利用できる。このほか、スマートフォンのセキュリティソフトを200円/ 月で、クラウドサービスと電話によるサポートサービスが利用できる「マイポケット プラス」を200円/ 月で提供している。

ハイホーでは、メールアドレスを3個まで無料で追加でき(2年間)、メールウイルスチェックは4個まで無料(2年間)。SMSは140円/ 月で利用できる。転送電話、迷惑電話ストップサービスは無料で利用が可能。このほかhi-hoに加入したユーザーを対象に「楽天でんわ」の通話料1,000円分のクーポンを無料で提供する。楽天でんわは通常、月額基本料無料、通話料半額(10円/30秒)で利用が可能なサービス。通話料を圧縮できるので合わせて利用したい。30秒10円の通話料金(国内および国際)で利用することができる。

一方、BIGLOBE LTE・3GではBIGLOBEメールを提供。SMSは120円/ 月で利用できる。故障・水没などのトラブル時に端末を交換できる「BIGLOBE端末あんしんサービス(LG G2 mini)」(300円/ 月)、スマートフォンの設定や使い方を電話で相談できる「BIGLOBEお助けサポート」(475円/ 月)などサポートサービスも充実させている。全国にあるBIGLOBEの公衆無線LANサービス「Wi-Fiスポット」も追加料金不要で利用可能だ。

各サービスの比較表。最安プランのデータ通信量が最も多いのはハイホーとなっている (※拡大画像はこちら)

*  *  *

本稿では、LG G2 miniを提供するMVNOの大手4社によるサービスを比較してきた。最後に、格安スマホの活用例を考えてみたい。例えば、ブラウジング用にスマホを、電話用にガラケーを利用する「ガラケーとの2台持ち」ユーザーには、安価に利用できる有力な手段となるだろう。NTTドコモの提供する広いエリアで下り最大150Mbpsの通信速度、1GBのデータ通信容量が利用できるので使い勝手がとても良い。

では音声通話の面では、使いやすいサービスと言えるだろうか。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクが提供する新料金プランは「音声通話の無料化」が売りになっている。これに比べると、頻繁に通話を利用する人にとっては、従量制の料金プランは少し抵抗があるかも知れない。しかし、ハイホー、日本通信、ビッグローブの3社が提供するサービスではIP電話も利用できる。ここが大きな長所になる。毎日のように通話する相手にはIP電話、通話頻度の高くない人や緊急用には090で始まる電話番号を利用すれば、格安を維持できるのだ。既述の通り、ハイホーでは新規入会者に「楽天でんわ」のクーポン(1,000円分)を提供している。こういった独自のサービスも有効に活用したい。

このように、MNPが利用できるハイホー、日本通信、ビッグローブの3社のプランなら、メインのスマートフォンとしての利用も考えられるだろう。格安スマホ選びの参考にしていただければ幸いだ。MVNO各社のサービス合戦が激しさを増している。今後の展開にも注目していきたい。

(執筆:大石はるか)