10月30日~31日、インテルのソフトウェア開発者向けイベント「インテル ソフトウェア・カンファレンス 2014」が開催された。30日には、IoTを取り巻く最新テクノロジーの紹介を行っていた。その中から、「インテル Galileo 開発ボード、インテル Edison ボードの開発環境ご紹介」のセッション内容をお伝えする。

IoT時代に向けた開発ボードGalileo/Edisonとその開発環境

セッションを担当したインテル ソフトウェア & サービス技術統括部 アプリケーションエンジニア 新井雅海氏

IntelがIoT時代へ向けたx86プロセッサ「Quake」を発表したのは2013年10月。ほぼ同時にArduino互換の開発ボードGalileoが発表され、2013年に開催されたインテル ソフトウェア・カンファレンスでも展示されていた。このGalileoはGPIOの速度が遅い問題もあり、8月にGalileo Gen2として再登場となった。

講演ではGalileoの初代と第2世代製品の違いについても言及されていた。第2世代の主な変更点としてボードサイズがやや大きくなった点に加え、ホストUSBコネクタが通常タイプへ、シリアル通信端子を3.5ΦのオーディオコネクタからFTDIの標準ケーブル互換へといった点、I/Oピンの高速化と電源に関するArduinoとの互換性を向上を挙げていた。

ボードの紹介。第2世代のGalileo開発ボードはArdino UNOの拡張ボード(シールド)が利用できる開発ボード。前モデルから互換性の向上や使い勝手の向上が行われており、CPUは400MHz駆動のQuake SoC X1000

また、IDF 2014で登場したSDカードサイズの超小型PC「Edison」は最終的にSDカードサイズとはならなかったものの、ほとんど変わらぬW35.5×D25×H3.9mmという小型サイズながらWi-Fi/Bluetoothを含み、IO用の小型コネクタを持ったユニークな製品だ。

これに対しEdisonはSilvermontアーキテクチャのDual Core Atom(500MHz駆動)とQuake(100MHz)とCPUが非常にリッチになり、IEEE802.11a/b/g/n対応無線LANとBluetooth 4.0を備える。メモリもRAM 1GB/Flash 4GBと組込用としてみた場合多い。現在はAtom上で動作するLinuxのみの提供だが、将来的にはQuake上で動くリアルタイムOSも提供されるとのことだ

Edisonは日本でも10月25日から日本でも発売された。Edisonモジュール単体のほか、Arduino UNO互換の拡張ピンを持つ「Edison Kit for Arduino」とモジュールのセット、Edisonの拡張ピンがすべて活用可能な「Edison Breakout Board Kit」とモジュールのセットが販売されている。

Edisonは単独で使うのではなく拡張ボードを設計して組み込むパーツとして考えられている。Intelからは拡張ボードが2種類発売中で、すでにサードパーティ製拡張ボードも数製品が登場している

Intelから登場するのはArduino UNO互換のI/Oを備えるGalileo風のEdison Board for ArduinoとEdisonのI/Oをそのまま利用できるEdison Breakout Board。ちなみに発売されているのはすべてEdisonとのKit品で拡張ボードだけの販売はない

Low/Highレベルのライブラリと3種類の開発環境を用意

次にIoT向けデバイスに対する開発環境とライブラリが豊富に用意されていることが示された。まずライブラリ側だが、Node.js、Python、C++、C言語から簡単にアプリを作成するためのLowレベルライブラリMRAAと、UPMという上位ライブラリも用意されている。

MRAAはGitHubから入手可能なライブラリで、I/O操作のための低レベルライブラリだ

サンプルプログラム。4行でLEDを光らせることができ、アナログ入力もたった3行で済む

Edison単体でのアナログ入力はEdisonがその機能を持っていないが、それ以外はすべてのI/O操作がMRAAを使ってプログラミングできる

IoTで使いそうな機器をさらに簡単にアクセスできるのがUPMだ。これもGitHubから入手可能

サンプルプログラム。LCDモジュールに「Hello,World!」と表示させるのも3行で出来る

プログラムの開発環境に関してはEclipse IDE distributed with Intel IoT Developer KitとArduino IDE(Galileo/Edison専用版)、それにnode.jsを用いて開発するXDK IoT Editionが提供される。EclipseとXDKはPCとケーブルを接続せずにプログラムをアップロード実行が可能となっている。

IDEとしてEclipseとArduinoを提供。どちらも開発環境としてはポピュラーなものだ。Arduino IDEはファームウェアのアップロードにも使用し、Arduinoのスケッチはx86のネイティブコードになるためEdison Breakout Board Kitでも利用可能だ

XDK IoT EditionはJavaScriptベースで開発できるIDE。Edisonには標準で、GalileoはYocto Linuxの開発者向けイメージに含まれており、Galileo/Edisonをスマホでコントロールするアプリも作成できる。サンプルも多く用意されており、これはかなり興味深い

実機を使ってのデモ。なお左に見えるのはEdison Breakout Board Kitではなく、Eagletという参考製品の拡張ボード

まとめ。比較的豊富な開発環境やサンプルが用意されており。サポート言語も多い。ホビーだけでなく、仕事としてもモノになりそうな気にさせてくれた

Edisonボードハッカソン Finalist発表会と表彰式、第三の拡張ボードの展示も

今回の講演とは別に15日に行われたEdisonボードハッカソンのFinalist発表会と表彰式も行われた。なお、インテルは11月23~24日に東京ビックサイトで行われるMaker Faire Tokyo 2014にも出展する。

最優秀作品となったクライマックスCAMERAのチーム「ホームランズ」代表(右)とプレゼンターのインテル 執行役員技術本部本部長 土岐英秋氏(左)

作品はクライマックスCAMERAで、非常に軽量なEdisonの特徴を生かして、風船で浮かせるというプレゼンを実施

webによる画像共有も風船が運んでくるという演出。右に見えるのはクライマックスCAMERAプチを吊り下げている風船だ

ファイナリスト5チームによる記念撮影

このEdisonボードハッカソンではArduinoタイプのほかに3.3V I/Oと9軸センサを備えた「Eaglet」と呼ばれるボードが提供された。ショーケースでの展示もあり、要望が多ければ製品化も考えるようだ

ややピンボケで申し訳ないがEagletは「ミントタブケース」にぴったり収まるデザイン。ぜひ販売してほしい

クライマックスCAMERAでもEagletを使っていた