Windowsが初めてエクスプローラーを搭載したのは、Windows 95である。前バージョンであるWindows 3.xの「ファイルマネージャ」を大きく進化させ、DOS時代に普及したファイラーを過去のものとした。
Windowsのバージョンアップと共にエクスプローラーはマイナーアップデートを重ねてきたが、大きく変化したのはリボンを搭載したWindows 8から。2007年にリリースした「the 2007 Microsoft Office system」で標準搭載したリボンをエクスプローラーに持ち込んだ。それ自体は大きな問題ではなかったものの、メニューバーの廃止は過去の操作スタイルになれたユーザーから、大きな批判を受けたのは記憶に新しい。
Windows 10が2015年中にリリースすることを踏まえれば、Windows 8から3年間の月日を数えることになるが、今後も使い続けるエクスプローラーにも、いくつかの改良が加わっている。今回はWindows 8.1と比較して、相違点をピックアップしていく。
Windows 10は8K解像度に対応?
まずは下図をご覧頂きたい。Windows 10テクニカルプレビューのエクスプローラーには、RTM(Release To Manufacturing version)で採用すると思われる新デザインのアイコンが用いられている。一見すると「This PC(PC)」「Network(ネットワーク)」「Homegroup(ホームグループ)」などのアイコンデザインを一新。これらのデータは「%SystemRoot%\System32\imageres.dll」に含まれていた。
Microsoftは公式なアナウンスを行っていないが、8K解像度(7,680×4,320ピクセル)をサポートするという噂も流れている。その証拠ではないが、前述のimageres.dllをIcoFX 1.xで開いたところ、768×768ピクセルのアイコンリソースを含んでいることを確認した。他のリソースビューアーツールも試してみたが、同アイコンを開く際にハングアップするため具体的な例を提示できないが、Windows 10はさらなる高DPIへの対応に向けて、改善が加わっているようだ。
新アイコンは特徴的なフラットデザインを基調にしているが、エクスプローラーの変更で特徴的なのは「Home」が新たに加わった点である。初期状態でグループ分けしているが、執筆時点で「Favorites」「Frequent folders」「Recent files」の3つを確認した。「Favorites」はWindows 8.1のエクスプローラーにおける「お気に入り」と同じく、同フォルダーに作成したショートカットファイルが並ぶ。
「Frequent folders」は頻繁に使用するフォルダーを列挙するグループだ。初期状態は、DocumentsやMusicといったフォルダーが並んでいるが、Windows 10テクニカルプレビューを使い続けると、他のフォルダーや共有フォルダーも同グループに加わる仕組みである。
そして「Recent files」は、以前のWindowsから使われている"最近使ったファイル"を列挙するグループだ。先に示した図は画面キャプチャーのためTIFF形式ファイルが並んでいるが、リンク切れ(画像ファイルは別PCに転送する仕組み)のため、サムネイルではなく既定のアイコンが表示している。
タスクバー上のボタンや[Win]+[E]キーを押してエクスプローラーを起動すると、この「Home」が開くため、使用頻度の高いファイルやフォルダーの再利用がしやすくなるのは確実だろう。
リボンに加わった変更点を確認
Windows 10テクニカルプレビューでは、リボンの構成にも若干の変更が施されている。まず<Home(ホーム)>タブには、新たに<Add to favorites>ボタンが加わった。これは現在開いているフォルダーを「Favorites」にショートカットファイルとして追加するための機能だ。
そして<Share(共有)>タブには、<Share>ボタンが加わっている。こちらは選択したファイルを共有チャーム経由で共有するための機能。デスクトップ環境においてチャームバーを使う機会は多くない点と、チャームバーを廃止するという噂を鑑みると、チャームバーの各内容をリボンに移す、もしくは単に追加する可能性はありそうだ。
Windows 10が実装予定の機能
以上で確認できたエクスプローラーの変更点を紹介し終えたため、他のポイントについて述べさせて頂く。まずリーク版の動画を観ると新機能として搭載するハズだった「Notifications」ウィンドウはWindows 10テクニカルプレビューで見当たらないことにお気付きだろうか。
そもそもWindows 8から加わったトースト通知は、一定時間スタート画面やデスクトップに現れるが、再表示する術を用意していない。そのため過去の通知を参照するため、Notificationsウィンドウを搭載すると噂されていた。動画ではタスクバーのツールバー部分にボタンが用意されていたが、追加するための項目は見当たらない。
さらにSkypeなどを用いてトースト通知の動作を検証したところ、Windows 8.1のように画面右上ではなく、タスクバーの真上に表示するように変更している。最終的にNotificationsウィンドウを実装するか否かは不明だ。
その他にも音声アシスタントのContraやHTTP/2をサポートするInternet Explorer 11 for Windows 10、DirectX 12など気になる点は多いものの、Windows 10テクニカルプレビューに関しては一度筆を置くことにしよう。今後Windows Updateや変更が加わった場合や、別のプレビュー版をリリースした暁には、さらなる調査結果の報告を約束する。
阿久津良和(Cactus)
■前回の記事はこちら
・短期集中連載「Windows 10」テクニカルプレビューを試す(第6回) - コマンドライン派も納得の「コマンドプロンプト」
http://news.mynavi.jp/articles/2014/10/10/windows10/