米Microsoftは7月22日(現地時間)、2014年度第4四半期の決算発表を行った。数字的には法人向けクラウド事業が急成長していることを確認できるものの、着目すべきは3つのWindowsを1つのOSにまとめる方針を明確にした点だ。今週はWindowsの再統合についてリポートする。
再びひとつになる「Windows 9」
MicrosoftのCEO(最高経営責任者)であるSatya Nadella氏は、現行のWindows OSを統合することを同社の第4四半期決算発表で明らかにした。決算発表のニュースリリースではWindows OSの統合について触れてないが、収支報告書には「次期Windowsでは、3つのOSを1つにまとめる」との記述がみられる。また、海外のIT系ニュースサイトNeowinはNadella氏の発言をYoutubeに公開している。
Microsoftは現在、コンシューマー向けOSとして、「Windows」シリーズ、「Windows RT」シリーズ、そして「Windows Phone」の3つをリリースしている。先の音声動画によれば、「3つのOSを集約し、すべてのスクリーンサイズをカバーすることで、OSの合理化につながる」とNadella氏は述べている。
ただし、Windowsの再統合は目新しい話題ではない。Devices and Studios担当EVP(上級副社長)のJulie Larson-Green氏は、2013年末の投資者向けカンファレンスで「タブレット向けにWindows RTをリリースしたが、外観がWindowsと似ているため、ユーザーの期待に応えられなかった」と述べている。その結果、2013年10月に発売した「Surface 2」では製品名から"RT"を削除(OSにWindows RT 8.1を搭載しながら)。最近発売したSurface Pro 3に至っては、Windows RTモデルが存在せず、Surface 2を継続販売している。
また、スマートフォンやタブレット、PC上のWindowsで同じアプリケーションを作成するためのソリューション「Universal Windows Apps」についても、Build 2014で情報公開済みである。エンドユーザーから見れば、Windows 8.1でもWindows Phone 8.1でも同一のアプリケーションを実行可能になるが、発表時点の資料によれば、あくまでも異なるアプリケーションとして開発しなければならない。もちろんコードの互換性や共通化は進められているが、完全とは言い難かった。"One Microsoft"ならぬ"One Windows"では、このあたりの改善も行われるだろう。
同時に興味深いのが、Windows Phoneの存在である。米Microsoftは7月23日にWindows Phone 8.1搭載のエントリーモデル「Lumia 530 Dual SIM」発表したばかりだが、日本国内における発売は未定だ。しかし、総務省主導のもとSIMロック解除に向けて具体的なルール作りが始まっており、Windows Phoneの日本市場参入を阻む壁がひとつ取り除かれそうだ。後は「Cortana」の日本語対応を待つばかりである。
これらのことを踏まえると、先週の記事で述べたように、Windows 9(仮称)の改善は必要最小限に抑えられる可能性も決して小さくない。いずれにせよ、開発コード名「Threshold」で進められている次期Windows OSリリース時は、Windows Phoneの日本再上陸も現実味を帯びてくるはずだ。
阿久津良和(Cactus)