本製品はから拭きはもちろん、水拭きにも対応。それぞれ専用のパッドとクロスがあり、付け替えて使用する。そして稼動させる際には、“ドライモード”か“ウェットモード”を選択。ウェットモードの場合は、モップで掃除する際の動きを模した前後に細かい動きで自走し、ドライモードでは直線的な動作で自走する。

【左】付属の2種類のクリーニングクロス。ブルーがウェット用で、白がドライ用 【中】ウェット用、ドライ用それぞれパッドが用意されており、ウェット用はマジックテープで、ドライ用はパッドのゴムの部分に挟み込むだけなどで着脱はとても簡単 【右】素材はドライ用(上)のほうがより極細の繊維で、ウェット用(下)がモップのように目が粗い繊維

また、水拭き用のクリーニングパッドには内部に水を入れておき、稼動中は一定量でクロスに給水し、クロスをずっと湿った状態に保って掃除ができる。スペック上は、最大約20畳までの広さなら途中クロスを取り替えたり、濡らしたりする必要がない。

【左】ウェット用のクリーニングパッドには給水口があり、中に水を入れて使用する 【右】真ん中にあるパッド部分から水が染み出て、取り付けたクロスに給水し、常にウェットな状態を保てる仕組みだ

実際に動作させてみた個人的な印象は“おしとやかなルンバの妹”。ルンバのイメージで想像していると、実に静かで穏やかな動きで拍子抜けするかもしれない。稼動中もどこに本体があるのかわからないぐらい、静かに健気に黙々と雑巾がけを続けている。前面に衝撃を和らげるバンパーが装備されているものの、体当たりで家具や壁にぶつかっていくというようなことはほとんどない。ひたすらゆっくりと地道に床を拭き続けているという感じだ。

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「ウェットモード」では、本体が前後を往復する動作を繰り返すのが特徴。同じ箇所をゴシゴシと拭き取っていくようなイメージだ(再生時間約3分23秒、ファイルサイズ約70.7MB)
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「ドライモード」では、廊下を一直線に雑巾掛けするような、直進的な動作が特徴で、ホコリや小さなゴミを一気に絡み取っていく(再生時間約3分32秒、ファイルサイズ約73.8MB)

肝心の掃除能力に関しては、フローリングワイパーで掃除をするのとほぼ同じ印象。ただし、人間の手のように汚れが酷い場所があっても臨機応変にゴシゴシと擦ることはできず、常に一定の強さで拭き掃除を続ける。欲を言えば、ルンバのように一定の区画を重点的に掃除したり、強弱をつけた運転ができたりするとより便利になるだろう。また、速度が非常にゆっくりなので、ピンポイントで掃除してほしい場所がある場合にはもどかしく感じてしまう。リモコン操作が自在にコントロールできる機能があると、なおありがたい。そのあたりは、改善、改良ポイントとして、今後のバージョンアップに期待したいところだ。

【左】ウェットモードでの清掃後のクロス。濡れたクロスで床の黒ずみをしっかり拭き取ってくれているのがわかる 【中】ドライモードでの清掃後のクロス。ホコリや砂だけでなく、小さなゴミや髪の毛までしっかり拭き取ってくれている 【右】ドライモードでは、市販の使い捨てクロスを装着することもできる。ドライクロスでは髪の毛や小さな繊維が絡みついているのを後で取り除くのが大変なので、使い捨てのほうがオススメだ

そのほか筆者が個人的に秀逸と感じた点は、何よりコンパクトな本体。直径約353mm、高さ79mmとルンバに比べて3回りほど小さく、収納スペースを取らない。さらに充電時は縦置きなので、壁際にあっても邪魔にならない。本体カラーも日本独自の白を採用しており、日本の標準的な仕様の壁やインテリアともよく調和し、デザイン自体もスッキリとシンプルで洗練されていて部屋の景観を乱さない。

充電時の状態。壁際に縦置きできるので場所を取らずにスッキリ。カラーは日本独自の白なので、スタイリッシュで目立たない

家の中でも靴を脱いで生活しない国では、床掃除と言えばざっくりとモップ掛けするだけというのが主流。それに対し日本では、掃除機+雑巾がけとよりきめ細やか。ロボット掃除機の登場で既に多くの家事の手間が省けたが、本製品はさらに手間を軽減する。重点的・本格的な掃除は定期的に手作業でやるとして、ロボット掃除機は毎日の簡単な掃除に最適だ。

また、掃除の負担を減らすためには、日頃から過度に汚さないことがカギ。人の手でやる雑巾がけを毎日するのは重労働だが、ふだんはロボット任せにして部屋を一定の状態でキレイに保っておけば、定期的な手作業での掃除の負担は軽くなるはずだ。何より、裸足で床の上を歩くことの多い、夏場のこの季節、毎日ロボット任せで手間なく雑巾がけをすることで、床は常にザラつくことなく、本当に快適に感じた。毎日の雑巾がけの手間なく、床の上を裸足で常に気持ちよく歩きたい人はぜひとも導入してほしい商品だ。