2015年度の方針としては、「Mobile First, Cloud Firstの加速とともに、日本社会にさらに根付いた会社を目指す」とし、「デバイスビジネスの加速」、「法人向けクラウドビジネスの加速」、「魅力的な製品/サービスの提供」といった3点から説明した。

新年度はMobile First, Cloud Firstをさらに加速する

「デバイスビジネスの加速」としては、法人顧客からは、セキュリティ/プライバシー保護、管理性、既存資産との親和性、PC+タブレットによる1台2役、幅広いデバイスの選択肢が求められていることを示しながら、具体的な事例として、大塚製薬が、すべてのMR(医薬情報担当者)を対象に、従来のノートPCと他社タブレットの2台持ちから、デルのVenue 11 ProによるWindowsタブレット1台へとデバイスを集約。1,900台のタブレット導入によって、導入および管理費用を50%削減したことや、BitLockerによるセキュリティ対策が可能になったことを説明した。「このように端末の一元化を図りたいと考えている法人が増えてきている」として、今後、Windowsタブレットによる1台2役の提案を加速する姿勢を示した。

法人顧客からの関心が高まり、具体的な移行事例も

また、樋口社長は、Surface Pro 3の予約状況についても触れ、「予想を上回るものすごい反響である。前モデルのSurface Pro 2は、予約日が1日しかなかったが、初日だけを比較しても予約数は25倍になっている。想定をはるかに上回っている。また、法人ユーザーについても、6月の受注数量がSurface Pro 2に比べて、25%もアップしている。Surface Pro 3は、画面も大きく、対面販売のときにも便利。ハイスペックであるため、CADの領域においても使える」とし、個人需要でも、法人需要も高い評価を得ていることを強調した。

「法人向けクラウドビジネスの加速」では、Microsoft Azure、Office 365、Microsoft Dynamics CRM Onlineの3つのサービスについて言及。「これらのMicrosoft Cloudの強みは、ハイブリッドクラウドであり、エンタープライズグレードのサービスである点。安心、安全、安定した利用が可能になる」と前置きしながら、「とくに、2015年度は、Microsoft Dynamics CRM Onlineに大きな投資を行い、大きくドライブをかけていく」と語った。

また、ワークスタイル変革やビッグデータの民主化、IoTの有効活用、BCPの推進、業界内連携や異業種連携などにもクラウドを活用していく姿勢をみせた。

「魅力的な製品/サービスの提供」では、7月16日に日本で出荷を予定しているSurface Pro 3や、9月4日から発売するXbox Oneなどのデバイスのほか、コンシューマ向けサービスでは、OneDriveにおいて、無料で使えるディスク容量を7GBから15GBへと拡張。有料で使える100GBのサービスにおいては、月額799円を190円に大幅に値下げすることなどを紹介。また、海外では2013年1月から提供を開始し、全世界440万人の利用者を持つコンシューマ向けクラウドサービス「Office 365 for Consumer」を、2014年中には日本で提供することも明らかにした。

「日本のユーザーは、初めからOfficeがインストールをすることを好んでいたが、クラウドに対する関心が高まるなかで、日本市場に最適化した形で新たなサービスとして提供する」と語った。

「Office 365 for Consumer」を、2014年中に日本で提供

日本市場に最適化するという点では、インストールされたOfficeとの連携や、パートナー企業との連携によるエコシステムを活用した提案を進めることになるという。

今回の経営方針説明は、新たな内容として、Office 365 for Consumerの開始が明確に示されたが、実はこれもすでに同社が言及していた経緯がある。そのため、新たなものはなんら発表されなかったといっていい。Windows Phoneに関しても、「現時点でなんらお話しできるものはない。なるべく早く持って来られるように努力している」と回答したに留まった。

だが、日本のデータセンターの拡張を加速していること、マイクロソフトが出遅れているCRM分野への投資をグローバルで加速する姿勢をみせたことなどを見ても、積極的な姿勢を踏襲することは伝わってきた。

PC市場が前年度の反動によって動きが鈍化するなかで、Windows Phoneの展開が加われば、日本マイクロソフトの2015年度は、今回の説明以上に重要な意味を持つ1年になる。今回の取り組みは主に上期の取り組みにフォーカスを当てたものと捉え、下期以降の動きは改めてウォッチしておく必要がありそうだ。