このパスワード同期は、比較的危険性の少ないWebサービスに限定するというのも1つの方法。銀行やクレジットカードのような金融系などの重要なサービスのログインには「パスワード管理ツール」を使う、という方法もある。

パスワード管理ツールは、WebサイトなどのIDとパスワード以外にもさまざまな情報を登録し、必要な時に使えるようにするためのツールだ。例えば「LastPass」は、クラウド上にIDとパスワードを保存できる上に、ブラウザと連携し、IDとパスワードの入力フォームに自動的に入力してくれる機能もある。安全なパスワードを生成してくれる機能もあるので、複雑なパスワードに頭を悩ませる必要がない。

LastPass

IDとパスワードを保存し、ブラウザに自動入力してくれるので、WebサービスごとにIDとパスワードが異なっていても、ユーザー側にとっては手間がなく、覚える必要もないので、パスワードの使い回しの心配もなくなる。

ただ、これはPCの場合の話。これがスマートフォンになると、ChromeやSafariがこうしたブラウザ連携ツールに対応していないため、別の手法が必要になる。そのため、LastPassを始め、1Password、RoboForm、KeePassといったパスワード管理ツールはスマートフォン用アプリを用意しており、アプリにブラウザを組み込んで、Webサイトを閲覧しつつIDとパスワードを自動入力できるようにしている。標準ブラウザとは別に専用ブラウザを使うことになるが、パスワード入力が必要なサイトの閲覧だけこのパスワード管理ツールのブラウザを利用する、というやり方もあるだろう。

LastPassとブラウザが連携しているところ。自動入力されるので、そのままログインできる

もちろん、LastPassなどを利用する際に、IDとパスワードの入力は必要になる。このIDとパスワードを1つだけ、とにかく難しくて長いものを設定する。何度も入力していれば覚えるので、ここは我慢して覚えなくてはならないが、これ1つだけ覚えれば、あとはIDとパスワードの安全性を格段に向上させられる。

ブラウザ以外で利用するサービスでも、IDとパスワードをコピーできるので、それを応用すれば、スマートフォンでもたいていの場面でIDとパスワードの入力に困ることはない。例えばTwitterでAmazonの商品リンクをタッチして標準ブラウザが起動して、そのままAmazonで買い物をする場合、本来はIDとパスワードの入力が必要になる。その場合は、URLをLastPassアプリなどのブラウザにコピーして張り付ける、といった方法で、IDとパスワードの入力を簡素化する、といったことは可能だ。