こうしたハイエンド端末の代表格はAppleの「iPhone」だ。例えば最新機種の「iPhone 5s」の16GB版は大手キャリアとの2年契約で「199ドル」で購入可能だが、これを「アンロック版/SIMフリー版」などの名称で呼ばれるキャリアとの契約なしで購入すると「649ドル」となる。

2年契約の場合のiPhone 5sの販売価格は199ドル。写真はAT&T

実際の卸値はもう少し安い設定のようだが、おおまかにいうと649から199を差し引いた「450ドル」が携帯キャリアの出す販売奨励金であり(英語では「Subsidized」などの表現が使われる)、2年契約を条件にこの分をユーザーの代わりに携帯キャリアが端末メーカー(この場合はApple)に対して支払っているというわけだ。

こうした負担は新規ユーザーや端末を乗り換えたユーザーが増えるほどキャリアの負担となり、最終的に利益を圧迫する。ゆえにキャリアがことあるごとに「この手法を見直したい」と発言しているのはこうした理由による。「これ以上割引販売を行ってもキャリア同士で顧客の引き抜きになるだけで狭いパイを食い合うことになり、誰のメリットにもならない」という認識だ。

実際、こうした「多額の奨励金を積み増して顧客を獲得する」スタイルを採用するハイエンド端末で生き残っているのはiPhoneと、その対抗馬となるGalaxy Sシリーズなどごくわずかで、それ以外の端末は在庫整理のために時を置かずして販売価格の値崩れが始まってしまう。こうした厳しい世界に登場した久々の新星が今回のAmazon.comの「Fire Phone」というわけだ。