2014年5月30日、日本マイクロソフトはSurfaceシリーズに代表されるWindowsタブレットの、夏商戦向け拡販施策を発表した。2014年3月の「旅レット8キャンペーン」に続く第2弾となる。会場には、日本マイクロソフト 業務執行役員 コンシューマ&パートナーグループ OEM統括本部長の金古毅氏や、ゲストとして、サッカー元日本代表で日本サッカー協会理事の北澤豪氏が登場した。
最初に登壇した金古氏はWindowsタブレット市場の現状を踏まえ、「Windows 8ローンチ以降、数十機種のWindowsタブレットが展開するようになった。さらに多くのユーザーにWindowsタブレットを提供するためには、利用シーンとユーザー視点のシナリオを想定した施策が必要だ」と、今回のキャンペーンを開催する背景を説明した(図01)。
3月の「旅レット8キャンペーン」は、8インチタブレットをターゲットに行ったものだが、2カ月という短い期間ながらもWebページは70万ビュー、キャンペーン実施前の想定売上数は2倍。共催パートナー調査によると、女性の購入比率は15%増えたそうだ。これらの結果を踏まえ、夏のキャンペーンを実施する。
さらにIDCの調査による、家電量販店を経由したWindowsタブレットのシェアが30.5%にまで成長したことをアピール。ちょうど3月のキャンペーン開催時に、タブレットシェアで3分の1を目指すと語っていたが、金古氏は「すでにゴールは見えている」と強気の姿勢を見せつつ、さらなるシェア拡大を目指すとした(図02~03)
そして本日から開始する「すぽレットキャンペーン」の紹介が始まった。ちょうど今年はワールドカップイヤーということもあり、サッカーをメインとしたスポーツ観戦をWindowsタブレットで楽しむシナリオを想定しているという。
すぽレットキャンペーン - Windowsストアアプリ「リアサカLIVE」
すぽレットキャンペーンは、3つの要素から構成される。
1つめは、サッカーの試合データをリアルタイムで受信するWindowsストアアプリ「リアサカLIVE」を、6月12日からリリースすることを明らかにした。リアサカLIVEは、チーム情報や選手情報、スタッツデータ(試合の詳細情報)を受信するアプリだ。
データはJリーグオフィシャルデータサプライヤーのデータスタジアムが提供することから、ここで同社取締役の松本繁氏も登壇した。日本マイクロソフトのキャンペーンとは直接関係ないが、簡単に紹介しよう(図04)。
データスタジアムはスポーツデータを取り扱い、クラブチームなら戦力分析や選手評価、ゲーム開発会社なら選手のパラメータ調整の参考情報を提供する企業だ。松本氏は「チームや監督によっては、試合映像や練習映像をすぐに見たいというニーズが高いため、Windows Azureを用いたソリューションを開発した」とも述べ、横浜Fマリノスの事例を紹介。撮影データの中から見たいところだけをクリッピングし、Windows Azureにアップロードすることで、選手や監督、スタッフはWindowsタブレットで確認できる仕組みだ(図05~06)。
続いて、日本マイクロソフト コンシューマ&パートナーグループ OEM統括本部 マーケティング部の竹内洋平氏は、週刊モーニングで連載中の「GIANT KILLING」とタイアップすることを紹介しながら、キャンペーンの概要を説明。前述のとおり、キャンペーンの要素は3つ(図07~08)。
WindowsストアアプリのリアサカLIVEについて、竹内氏は「Windowsタブレットでスポーツ観戦を楽しんでもらうため、(テレビチューナーを取り付けたタブレットを)ポータブルテレビとしてスポーツ観戦し、家の大画面テレビで観戦中のときは、Windowsタブレットをセカンドスクリーンとして楽しんでほしい」と語った(図09~10)。
すぽレットキャンペーン - TwitterとWindowsストアのキャンペーン
2つめは、Twitterを使った「スポーツ名場面 ツイートキャンペーン」だ。「#spolet」というハッシュタグを付けて過去のスポーツ名場面をツイートすると、抽選で1名に最大100万円の賞品をプレゼント。さらに、ツイート総数によってプレゼント内容が8段階に変化するという試みを導入した。竹内氏は「サッカーボールから始まり、海外クラブの試合観戦旅行券までプレゼントする」と語り、総数は5万ツイート以上だという。
3つめの「Windowsストアクーポンキャンペーン」は、公式サイトの1クリックくじを引き、合計1万名に500円分のWindowsストアクーポン(ギフトカード)をプレゼントするというものだ(図11~12)。このギフトカードは、Xbox Videoストア、Xbox Musicストア、Windowsストア、Xbox Gamesストアで利用できる。一見するとスポーツと関係ないように思えるが、竹内氏いわく「スポーツを楽しむ際に音楽は欠かせない」とのこと。ちなみにXbox Musicによる配信曲数は、2013年発表の2,500万曲から変化していないようだ(図13)。
図11 Twitterを用いたキャンペーンでは、過去のスポーツ名場面をツイートすると、抽選で1名に最大100万円の賞品をプレゼント |
図12 キャンペーンサイトにあるリンクをクリックすると、合計1万名に500円分のWindowsストアクーポンをプレゼント |
話題が前後するが、リアサカLIVEの機能に関しては、ゲストの北澤氏と日本マイクロソフト社員がスライドを交えて説明した。リアサカLIVEでは、試合前にスターティングメンバー情報や予想フォーメーションを確認でき、試合中もチームデータやプレーヤーデータ、実際のフォーメーションなどを確認できる(図14~16)。
試合中のデータは30秒おきに更新し、交代選手やフォーメーションの変化も逐一表示。さらに攻撃割合は5分おきに更新するという。個人的には、ライブタイルを利用したカウントダウン機能を高く評価したい。
北澤氏も「例えばワールドカップは時差があるので、カウントダウン機能があれば助かるのでは」と述べるように、忙しい最中に試合を見逃すこともなくなるだろう。また、北澤氏はアプリを評して「うるさいサッカーファンが増える(笑)」と、会場の笑いを誘った(図17~21)。
今回、筆者は実際に「リアサカLIVE」を試した訳ではないが、サッカーファンの端くれとしては非常に興味深いアプリだと感じた。残念なのは、データ配信がFIFAワールドカップに限られている点である。予定では6月15日から始まる3試合に加え、決勝トーナメント全戦の計19試合のみだ。
今後の予定に関して、竹内氏が「その他のスポーツへの展開などを含め、関係者と協議中」と語ったように、今年の夏限定なのだ。データの転送量が少なければスタジアムに持ち込んで楽しめる可能性も高いので、有料版など今後につながるアプリになってほしい(図22)。
日本マイクロソフト×カゲロウプロジェクト
会場では、日本マイクロソフトがクリエイターを目指すユーザーを応援するため、若手クリエイターから支持を集めているカゲロウプロジェクトとコラボレーションした「日本マイクロソフト×カゲロウプロジェクト『My first Tablet』キャンペーン」に関する説明も行われた。カゲロウプロジェクトとは、作詞作曲および小説家のじん氏と、タイポグラフィを軸にしたイラストレーターのしづ氏の2人を中心に、楽曲や小説などさまざまなメディアで発表した作品群の総称だ(図23)。
キャンペーンは2014年5月30日から同年6月30日までを期間とし、じん氏としづ氏のサイン入りポスターが当たるTwitterキャンペーンや、独自デザインを施したタブレットがマウスコンピューターから発売される。詳しくは公式サイトや、別記事『マウスが「カゲプロタブレット」発表、クリエイター向け10.1型Win 8.1タブ』を参照いただきたい(図24~25)。
阿久津良和(Cactus)