「2014年度はなんとしてでも構造改革をやりきる」
ソニーの平井一夫社長兼CEOは2014年度の経営方針説明会の壇上、こう断言した。
2013年度の連結業績は、売上高が前年比14.3%増の7兆7,672億円、営業利益は88.3%減の264億円、税引前利益は89.4%減の257億円、当期純損失は前年の415億円の黒字から、1,283億円の赤字へと転落した。
そして、2014年度の連結業績見通しは、売上高が前年比0.4%増の7兆8,000億円、営業利益は428.4%増の1,400億円、税引前利益は405.0%増の1,300億円、当期純損失は前年の1,283億円の赤字からは回復するものの、500億円の最終赤字の見通しとした。
2期続けて全社最終赤字になることは大変重く受け止めている
平井社長は「2013年度は大きな最終赤字を計上し、2014年度もエレクトロニクス事業の回復遅れにより中期目標には遠く及ばず、500億円の最終損失になる見込みである」とし、「私は、社長就任時にエレクトロニクス事業の再生を最重要課題に掲げた。エンターテインメント事業、金融事業は想定を上回る成果をあげたのに対して、エレクトロニクス事業のターンアラウンドは達成できず、忸怩たる思いである。特に、2014年度、2015年度と2期続けて全社最終赤字になることは、大変重く受け止めている。期待に応えられなかったことには申し訳思っている」と、経営方針説明会の場で謝罪した。
また、吉田憲一郎CFOは5月14日に行われた決算会見の場において、「2013年度は、3回の下方修正を経て、約1,300億円規模の最終赤字となったこと、2014年度も構造改革に取り組むことで、500億円の最終赤字となること、そして、2012年度に掲げた2014年度の経営目標を達成できないなど、期待に応えることができない内容であり、申し訳なく思っている」とし、「ソニーのエレクトロニクス事業は6年間に渡って、構造的な赤字となっている。2014年度は、なんとしても構造改革をやり遂げる」と異口同音に語った。
ソニーにとって、本業であるエレクトロニクス事業の回復の遅れは、大きな課題だ。平井社長は「私にしてみれば、エンターテインメント事業、金融事業もソニーにとって重要なビジネス。いずれも四半世紀以上の歴史があり、業界において重要なボジションを担っている。どれもが本業である」とするが、やはりソニーの看板はエレクトロニクス事業であるのは間違いない。
仮に、エンターテインメント事業や金融事業が赤字でも、全社業績が黒字ならばソニーの回復感は伝わる。それはエレクトロニクス事業の復活を意味するからだ。だが、全社黒字となったとしてもエレクトロニクス事業が赤字では、誰もソニーの復活とは評価しないだろう。
「ソニーの復活はエレクトロニクス事業の復活なしにはありえない」
それは平井社長も自ら発しているコメントだ。だからこそソニーにとっては、エレクトロニクス事業は唯一の本業だといえるのだ。
平井社長は、2013年度のテレビ事業の黒字化とエレクトロニクス事業の黒字化を、最優先する必達目標に掲げてきた。だが、残念ながらそれは達成できなかった。「忸怩たる思い」という言葉からもその悔しさが伝わる。