マイナビニュースでは、2014年5月2日~4日の期間に、「エアコンを購入する際の基準についてのアンケート」を実施した。アンケートの有効回答数は500件だ。ここではその結果を元に、エアコンの選び方について、シンプルな判断基準を提供したい。

重視されている項目は「販売価格」「省エネ性能」「冷暖房性能」の3点

アンケートは、エアコンを購入する際に、どのような要素を重視するのかといった内容。回答を見ると、興味深い事実が浮かび上がってくる。

「Q. 購入の際に最も重視するものをお選びください」の結果

まず、「Q. 購入の際に最も重視するものをお選びください」の結果を見てみると、「販売価格」が52.2%でトップになっている。続いて「電気代」が21.4%、「冷暖房性能」が13.0%と、ここまでがベスト3だ。4位以下は「メーカー名」「デザイン」「サイズ」「運転音の大きさ」「付加機能」「生産地」「その他」の順となっているが、4位の「メーカー名」でも3.6%であまり重視されていないことがわかる。

「Q. 購入の際に2番目に重視するものを選びください」の結果

「Q. 購入の際に2番目に重視するものを選びください」の結果では、「電気代」がトップで、39.2%。続いて「販売価格」「冷暖房性能」の順だ。

「Q. 購入の際に3番目に重視するものをお選びください」の結果

「Q. 購入の際に3番目に重視するものをお選びください」の結果は、「冷暖房性能」がトップで25.6%。続いて「電気代」「販売価格」の順になっている。

このように、多くの場合、エアコンの購入に際して重視するポイントは、「販売価格」「省エネ性能」「冷暖房性能」の3点のみということが見えてくる。

エアコンの買い換えサイクルは平均で11年。一度購入してしまうと、なかなか買い換えることはない。つまり、ほとんどのユーザーが知っているエアコンは、現在自分が使用している製品のみということになる。この3つの項目は、エアコンにとくに興味がない人でも簡単に比較できる項目だ。アンケート結果でこれらが上位に来ているのは、ある意味当然といったところだろう。

省エネ能力は「COP」と「APF」でわかる

販売価格は、店頭やWebサイトなどでダイレクトに比較できる。「冷暖房能力」に関しても同様で、例えば、冷房能力2.8kW、暖房能力3.6kWといったように、カタログなどには必ず記載されている。また、部屋の広さが10畳ならば冷房能力が2.8kWといったように、使用する部屋の広さによって推奨される能力の目安も示されている。これよりも能力の小さいエアコンを使用した場合、室温のコントロールが十分に行えないかったり、常にフルパワーで動作するといったことになる。逆に、示されている目安よりもパワーの大きいエアコンを選んだ場合、動作には問題はないが、導入費用がかさむということになる。

残りは「省エネ性能」だ。「COP」は、エアコンが定格運転しているときの冷房能力、あるいは暖房能力を、そのときの消費電力で割ったものだ。しかし、エアコンは常に定格運転を行っているわけではない。真夏の午後など、気温の高い時期にはフルパワーで動作するし、夜になって気温が下がってくれば、パワーを抑えた運転を行う。そういった実際の状況に近い効率を表すのが「APF」(通年エネルギー消費効率)だ。いずれの数値も、高いほうが効率がよい、つまり省エネ性能が高いエアコンということになる。

というわけで、各メーカーのルームエアコンの「COP」と「APF」を比較してみたい。すべてのモデルを比較するのは無理があるので、ここでは、各社が販売している上級機の冷房能力2.8kWのモデルを取り上げている。

メーカー 製品名 COP(冷房時) COP(暖房時) APF
シャープ AY-D28SX 4.96 5.26 6.9
ダイキン工業 AN28RRS-W 5.19 5.29 6.8
東芝 RAS-281GDR 4.59 5.00 6.5
パナソニック CS-X284C 5.54 5.21 7.2
日立 RAS-Z28D 4.79 5.22 6.7
富士通ゼネラル AS-X28D 5.05 5.29 6.8
三菱重工 SRK28SR 4.71 5.11 6.7
三菱電機 MSZ-ZW284 5.19 5.37 6.9

冷房時のCOPはパナソニックの「CS-X284C」が5.54でトップ。以下5.19のダイキン工業「AN28RRS-W」、三菱電機「MSZ-ZW284」と続く。暖房時のCOPは、三菱電機の「MSZ-ZW284」が5.37でトップ。以下ダイキン工業の「AN28RRS-W」と富士通ゼネラルの「AS-X28D」が5.29、シャープの「AY-D28SX」が5.26と続く。

暖房時のCOPでトップの三菱電機「MSZ-ZW284

APFは、パナソニックのCS-X284Cが7.2でトップ。以下シャープの「AY-D28SX」と三菱電機の「MSZ-ZW284」が6.9、ダイキン工業の「AN28RRS-W」と富士通ゼネラルの「AS-X28D」が6.8、日立の「RAS-Z28D」と三菱重工の「SRK28SR」が6.7、東芝の「RAS-281GDR」が6.5となっている。

冷房時のCOPとAPFでトップのパナソニック「CS-X284C

7.2~6.5と幅があるが、はっきりいって、ここで取り上げた全モデルとも相当な省エネモデルだ。これがスタンダードクラスになると、APFは6弱になる。このクラスで選ぶのならば、価格が重要ということになるだろう。

最重要ポイントの「販売価格」を加えてみると

販売価格は日々変動するし、販売店によっても異なる。ここでは、「ヨドバシ.com」の5月19日現在の価格で比べてみたい。

シャープの「AY-D28SX」が245,320円、富士通ゼネラルの「AS-X28D」が237,420円、ダイキン工業の「AN28RRS-W」が234,220円、東芝の「RAS-281GDR」が232,420円、パナソニックの「CS-284CXR」が225,460円、三菱電機の「MSZ-ZW284」が212,400円、日立の「RAS-Z28D」が207,420円、三菱重工の「SRK28SR」が152,220円だ。

APFと価格が比例していないことがわかるだろう。こんな指標は正式には存在しないのだが、1 APF当たりの価格を「価格/APF」で比較してみると、以下の表のようになる。

メーカー 製品名 APF 価格 価格/APF
シャープ AY-D28SX 6.9 245,320円 35,554円
ダイキン工業 AN28RRS-W 6.8 234,220円 34,444円
東芝 RAS-281GDR 6.5 232,420円 35,757円
パナソニック CS-X284C 7.2 225,460円 31,314円
日立 RAS-Z28D 6.7 207,420円 30,958円
富士通ゼネラル AS-X28D 6.8 237,420円 34,915円
三菱重工 SRK28SR 6.7 152,220円 22,719円
三菱電機 MSZ-ZW284 6.9 212,400円 30,783円

「価格/APF」の値は、三菱重工の「SRK28SR」のみが2万円台の22,719円でダントツ。それに続くのは三菱電機の「MSZ-ZW284」の30,783円、日立の「RAS-Z28D」の30,958円となる。

「価格/APF」でトップの三菱重工「SRK28SR
最近、商品のロゴを社名を全面に押し出す形に刷新した

アンケート結果では、エアコンを選ぶ際に重視するポイントは「販売価格」「省エネ性能」「冷暖房性能」の順となっていた。この結果に合わせてシンプルに選ぶのなら、2014年のルームエアコンでは、三菱重工の「SR」シリーズがトップ、それに続いて三菱電機の「Z」シリーズ、日立の「Z」シリーズになりそうなものだ。実際のところはどうなのだろうか。