なぜサイクリングなのかと思う人がいるかもしれないが、愛媛県では2013年に「サイクリングしまなみ」というサイクリングイベントを行なっている。これは、一時的に国道を自転車専用道にしてサイクリングを楽しむというイベントで、レース大会になりがちな一般的なサイクリングイベントとは一線を画す。国道を一時的に自転車専用道として提供することは、全国でも異例とのことで「3時間で交通制限を解除するのであればOKと言われて、県職員などが頑張って撤去作業を行ない、2時間59分56秒で無事撤去できた」と中村氏は笑いながら振り返った。

2013年はプレ大会で3000人の集客だったが、2014年は本開催として8000人規模のサイクリング大会にするという。その取り組みのために、今回のサービスサイト開設を通して、更なるサイクリングファンの集客を図っていきたい考えのようだ。

中村氏は「自転車新文化として"友情"と"健康"、"信頼"を掲げている。新文化の全国への普及を図るために、日本マイクロソフトとICTの力を利用していきたい」と語っており、ICTの利活用を更に進めていくことを強調。サービスサイトだけではなく、通常の地域活性化共同プログラムと同様に障碍者向け支援プログラムやNPO基盤強化プログラム、高度人材育成プログラムも活用していく。

樋口社長と中村知事がサイクリングの決めポーズ

愛媛のご当地キャラ「みきゃん」とも記念撮影

日本マイクロソフトの社食では、当日に愛媛県メニューが振る舞われた。蛇口からみかんジュースが出る、水道ならぬ"みかんジュース道"も用意された。担当者によると「タンクなどが用意されているわけではなく、この日のために愛媛県から東京・品川まで引っ張ってきた。こういったイベントで、年に数回ほど引っ張ってきている水道だけど、まれに断水してしまうこともある」とのこと

また、愛媛県では同時に、地域活性化のためのICT基盤整備としてNTT西日本と共同でWi-Fi環境の構築も行なう。これは、主に観光客を対象としたWi-Fi環境の整備で、「誰でも使える」「簡単に使える」「使いたくなる」の3点を念頭に置いている。

観光客の中でも、特に外国人観光客をターゲットに定めており、「外国人が日本を旅行中に一番困ったこととして、無線公衆無線LAN環境がなかった点を挙げている。そのためにいち早くWi-Fi環境を整備することが、観光客誘致の重要な要素になってくると思う」(NTT西日本 愛媛支店長 大橋 大樹氏)として2週間使い放題のサービスを提供していく。

「えひめFree Wi-Fiカード(仮称)」と呼ばれるスクラッチ式のカードを外国人観光客に提供することで、滞在期間中は使い放題の通信環境を存分に利用してもらう。Wi-FiスポットはNTT西日本のDo SPOTを活用することで、幅広い地域・店舗で活用できるため、"簡単に使える"ことを標榜している。

NTT西日本 愛媛支店長 大橋 大樹氏

Wi-Fiによる観光客への通信環境整備を行なう

使えるというだけではなく、「使いたくなる」と能動的にユーザーに利用してもらうため、サイクリングロードの周辺エリアで旬な情報やお得なクーポンをプッシュ配信することも検討しており、ユーザーだけではなく、各店舗側にも大きなメリットがあると言えるだろう。

国内観光客についても、1日最大で60分間は無料で利用できるようにサービス提供を予定しており、しまなみ海道サイクリングロードの全長75km、150カ所で使えるようになる。さらに、今後は松山城や道後温泉といった観光名所へのサービス提供エリアの拡大も目指す予定だ。