教育現場の情報化は急速に進んでおり、なかでも象徴的な試みとしてよく話題となるのが学校でのタブレット端末の活用だ。教育におけるICT活用に関する先進的な実践事例や、企業による情報関連機器などを広く紹介する場となる、「教育の情報化」推進フォーラム(主催:コンピュータ教育推進センター)が2014年2月28日と3月1日の両日にわたって都内で開催された。フォーラムでは、各種講演やパネルディスカッション、分科会などが実施されるとともに、出展企業のアバー・インフォメーションが新製品を披露していた。

「教育の情報化」推進フォーラム当日の様子

教育現場のニーズを生かしたICT製品が展示

アバー・インフォメーションは、1990年に創業した台湾に本社を置く企業で、書画カメラ(実物投影機)で世界一位のシェアを誇っている。2000年に日本市場参入以降は教育機関を中心に国内でもシェアを急拡大しており、フレキシブルアームの採用、Wi-Fiモデルの開発など、現場での使い勝手に配慮した製品設計と幅広いラインナップが全国の学校教職員からも高く評価されている。

会場にも同社製の書画カメラの主要モデルが展示され、自然で鮮明な画質や高倍率のズーム機能などが注目を集めていた。また、すべての製品がテキスト読み取り音読機能(OCR、TTS)を標準装備しており、教科書や英字新聞・雑誌などを自動的にネイティブスピーカーの発音で読み上げることが可能なため、ヒアリング練習などに活用することができる。

書画カメラ「AVerVision M70」

アバー・インフォメーションの専務取締役 陳烱修氏は、同社製品の強みについて、「当社のすべての書画カメラ製品は、自社技術、自社製造、安心品質の3点にこだわることで、高いパフォーマンスと低コストを両立させています。また、使い勝手の面でも、例えば学校の先生には女性が多いことから、安定性を重視しつつ、できる限り軽くするなど、長年の教育機関への製品提供で培ったノウハウを踏まえた工夫を凝らしています」と説明する。

タブレットを簡単、安全、素早く、同期+充電+保管

「TabSync(タブシンク)」

そんな同社が豊富なノウハウを生かした新製品となるのが、2014年4月にリリース予定のタブレットPCの同期、充電、保管ができるカートとテレビ会議システムだ。

タブレットの同期と充電、保管を同時に行うことができるカート「TabSync(タブシンク)」はUSBケーブルが事前に配線されているので、追加費用や手間なしですぐに、32台までのiPadとAndroidタブレット、USB給電に対応したWindowsタブレットを組み合わせて充電することが可能となっている。また、同期機能を使用することで接続された全てのiPadに一括で素早くアプリケーションやファイル、ユーザープロファイルの追加・削除・修正を行うことができる。筐体は、堅牢なスチール製の二重扉と3点ロックメカニズムを備え、端末を安全に保管できるようになっている。さらに、使いやすい収納棚や人間工学に基づいたハンドル、滑り止め付きの作業台、3つの予備電源コンセントなどを装備する。

「TabSync」の天面には、ステータスパネルのカラーLEDランプが配置されており、扉を開けることなく個々のタブレットの充電状況や同期状況を即座に確認することが可能だ。スムーズな可動式ロックが付いた回転式キャスターと壁面取付け用フックにより、これまで課題とされていたカートの移動と保管が容易となっている。加えて、天面の前後サイドは鋭角をつくらず丸みを帯びたつくりであるため、ソフトタッチなインテリアデザインとしてだけでなく、生徒や使用者の接触・衝突によるケガを防止できるよう配慮がなされている。

「教育現場で使用するものなので、何よりも安全性を第一に心がけて開発しています。タブレットの活用はこれから日本の教育現場やビジネスの現場で一気に進むことでしょう。「TabSync」は、タブレットを使用する教室やオフィスで必要不可欠なアイテムだと自負しております。「TabSync」の有効性を実感してもらうため、今後モニターの募集も行っていく予定です」と陳氏は語る。

教育の新しいかたちを拓くHD テレビ会議システム

HD テレビ会議システムを紹介する、アバー・インフォメーション株式会社 専務取締役 陳烱修氏

テレビ会議システムの新製品となるのが、「AVer EVC100」と「AVer EVC125P」である。いずれも管理サーバーを必要としない専用機端末となっている。HD720p/30fpsカメラ画像とコンテンツ共有画像に加えて、洗練されたマイクアレーと音声処理、コンパクトで軽量なデザイン、簡単な操作、先進のネットワーク技術とリモートマネジメントを実現している。マイクは4個まで拡張が可能。「AVer EVC100P」は200万画像・広角水平76.7°のPTデジタルズームカメラ、「Aver EVC125P」は200万画素・光学16倍ズームPTZカメラ、USBメモリースティック録画機能を備える。

また大きな特徴の1つとして、書画カメラとの連携機能が挙げられる。これにより、授業や会議などで遠隔地から話者が紙の教材に書き込みながら説明したり、立体的な教材を使用した遠隔授業や工場から基板など“物”を撮影しながら問題のある部分について報告したりという使い方が実現できるのである。

「実際のスペック以上に高品質な映像のやり取りができるよう、当社独自の画像処理技術などを反映しています」と陳氏は強調する。また今後同社は10拠点接続機能を装備した新製品のリリースを予定している。

アバー・インフォメーションでは、今後さらに教育・ビジネスのICT活用に貢献していく構えだ。

「教育市場はこれから大きく変わっていくことでしょう。しかし我々の使命は教育現場を支援していくという点で変わることはありません。これからも一層、日本社会に貢献していけるよう、お客さまのニーズに応える製品の提供に努めていきます」と、フォーラム会場で陳氏は力強く語った。