スマートフォン向け通話サービスとしては、「050 plus」などのIP電話サービスがよく知られているが、最近では「楽天でんわ」や「G-Call」といった電話回線を利用した通話サービスも人気を集めている。また、無料通話・チャットアプリ「LINE」において、17日より提供された「LINE電話/LINE Call」も、新たな通話サービスとして話題となっている。

ビジネスに使うスマートフォン向け通話サービスは通信方式にも注目

スマートフォン向け通話サービスを選ぶ際に、まず着目したいのが通信方式の違いだ。たとえば、NTTコミュニケーションズが提供する「050 plus」は、050番号を利用するIP電話サービスのアプリとして代表的だが、同アプリのようなIP電話サービスは、パケット通信を利用することで格安の通話料で通話できるのが特長だ。また、LINEが提供する「LINE電話」も同様にパケット通信を利用する通話サービスとなっている。

一方、パケット通信ではなく、電話回線を利用する通話サービスとなっているのが、楽天グループのフュージョン・コミュニケーションズが提供する「楽天でんわ」や、ジーエーピーが提供する「G-Call」だ。楽天でんわやG-Callでは、相手の電話番号の頭に4桁または6桁のプレフィックス番号を付加することで、独自の電話回線を利用した通話となり、格安の通話料で通話することが可能だ。

このように、スマートフォン向け通話サービスには、パケット通信を利用するものと、電話回線を利用するものという大きく分けて2種類が存在する。通話料の単純な比較では、パケット通信を利用する通話サービスのほうが割安となっているが、ビジネスの通話などで音声品質を重視する場合は、電話回線を利用する通話サービスのほうがおすすめだ。

一般的にパケット通信を利用するIP電話アプリなどでは、電波状況が悪い環境では音声品質が劣化したり、遅延が発生することがある。一方、電話回線を利用する楽天でんわなどの通話サービスでは、スマートフォンの通常発信と同等の通話を利用できるため、音声品質が良く、遅延も少ないのが特長となる。

また、通話発信した相手への番号通知の面でも、電話回線を利用するサービスに軍配が上がる。楽天でんわやG-Callで通話発信した場合には、相手には自身のスマートフォンの電話番号が通知され、相手を戸惑わせることなく電話に出てもらうことが可能だ。一方、050 plusなどのIP電話アプリで発信した場合、相手に通知されるのは050番号となるため、あらかじめ電話番号を教えておくなどの配慮が必要だ。

音声品質や番号通知という点では、電話回線を利用する通話サービスがパケット通信を利用するIP電話サービスなどよりも優位であり、スマートフォン向け通話サービスを選ぶ際には、単に通話料を比較するだけではなく、社外用、社内用など用途に応じて何を重視すべきかをよく考える必要があると言える。

「楽天でんわ」と「G-Call」の違いは?

それでは、電話回線を利用する通話サービスである楽天でんわとG-Callには、どのような違いがあるのかを見ていこう。まず、国内通話料については、固定・携帯電話宛ともに楽天でんわが10円/30秒(税別)、G-Callが10円/30秒(非課税)となっており、消費税の課税/非課税の違いはあるが、ほぼ同等だ。この通話料は、スマートフォンの一般的な通話料である20円/30秒(税別)の約半額となっている。

次に、国際電話の通話料について見てみると、楽天でんわは国際電話に対応する国・地域が主要32カ国(日本から発信される国際電話の約87%をカバー)に限られるものの、通話料は国内通話と同様に一律で10円/30秒(非課税)とわかりやすい。一方、G-Callは、発信先の国・地域によって通話料が異なり、アメリカは1分あたり29円、イギリスは39円、中国は48円(いずれも非課税)などとなっている。楽天でんわでは、各国とも1分あたり20円となっているため、対応する国に電話をするのであれば楽天でんわのほうがお得と言えそうだ。

番号通知についても、楽天でんわとG-Callには違いがある。G-Callの場合、携帯電話の相手には自身の電話番号が通知されるものの、固定電話にかけたときは非通知となってしまう。楽天でんわは、携帯・固定電話宛ともに、番号通知が可能となっている。楽天でんわを利用すれば、固定電話にかける機会の多い人は、取引先に連絡先を登録してもらえる、担当者に自身からの電話であることを伝えることができるなどのメリットを実感できるはずだ。

なお、楽天でんわとG-Callは、それぞれiPhone、Androidスマートフォン向けの専用アプリで利用可能だが、利用するにはあらかじめ登録が必要だ。また、登録してから実際に利用できるまでの期間は両サービスで異なっているので気をつけておきたい。楽天でんわは、すでに楽天会員として登録していれば、最短1分で登録を完了して利用できるが、一方のG-Callは、登録から完了まで約2営業日が必要となる。土日などを挟む場合には数日かかることもあり、使いたいと思い立ってから実際に利用できるまで日数を要するのは、G-Callのデメリットと言えるだろう。

また、G-Callを個人で利用する場合、支払いはクレジットカード払いのみとなるが、楽天でんわでは、クレジットカード払いに加えて、楽天銀行とスルガ銀行のデビットカードによる支払いも可能。支払い方法を選べるのも、楽天でんわの特長だ。

支払い方法と合わせて、ビジネスで使用する場合に気になるのが、自分の支払い状況だ。 どの程度の通話料か確認するにあたり、G-Callの場合は利用月の月末締めで、翌月中旬に前月1カ月分の通話明細がマイページで確認できる仕様となり、月の利用状況をすぐに確認することはできない。それに対し、楽天でんわは随時マイページで利用料金の確認ができるため、通話料の節約度合いをすぐに実感することができる。

さらに、楽天でんわは、楽天グループならではのポイントシステムやキャンペーンが充実している。楽天でんわの通話料100円に対し、楽天スーパーポイント1ポイントが貯まり、楽天市場をはじめとする様々な楽天のサービスで利用することが可能。

先日、3月23日には国内通話一日無料キャンペーンが実施されたほか、3月31日までの期間限定で利用登録により100円分の通話料がプレゼントされるキャンペーンを実施している。様々なキャンペーンを展開できるのも楽天ブランドならではのメリットとも言える。なお、G-Callは「ご紹介制度」で250円分の通話料を紹介者・被紹介者にプレゼントしているが、利用する機会はそれほど多くはないかもしれない。

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スマートフォン向けの通話サービスを選ぶ際には、通話料だけでなく、音声品質や番号通知などの利便性にもこだわりたい。楽天でんわなどの電話回線を利用した通話サービスは、音声品質や番号通知の面でメリットがあり、とくに楽天でんわはポイントシステムやキャンペーンも充実している。現在は、100円分の通話料がもらえるので、実際の音声品質などをチェックしてみたい人は、ぜひこの機会に楽天でんわを使ってみてはいかがだろうか。

(執筆:若葉はつみ)