アフィリエイト・サービス・プロバイダのバリューコマースは、インターネット広告市場における競争の激化と加速する広告配信技術の革新に対応するべく、1月1日から新経営体制へと移行。これまで取締役 副社長執行役員を務めていた香川 仁氏が、新たに代表取締役社長 最高経営責任者へと就任した。そこで今回は香川氏に、新社長としての意気込みや新たな取り組み、今後の戦略などを聞いた。

バリューコマース 代表取締役社長 最高経営責任者 香川仁氏

バリューコマースの新経営体制において、香川氏が戦略の中心に据えるのが“顧客満足度の向上”だ。「顧客満足度を向上するには、まず社員自身が本心から“これは使ってみたい!”と思える顧客目線のサービスや機能が求められます。

また、将来の展開を想像して先回りすることも必要です。需要の後追いではなく、少しでも良いので顧客の予想を上回れば、それが満足度の向上につながっていきます」と、香川氏は語る。インターネット広告市場は特にスピードの速い業界だけに、この“少しの先回り”が効いてくる。

バリューコマースでは、この“顧客満足度の向上”を実現する取り組みの一環として、2013年12月6日に「バリューコマースアフィリエイト意見交換会inマンダリン オリエンタル 東京」を開催した。このイベントは、同社のアフィリエイトサイト登録者を対象に、日頃会う機会が少ないアフィリエイター同士やバリューコマース社員との交流を深めてもらおうというもの。

今まで、広告主がアフィリエイターを招いて個別の商談会を行うことはあったが、大手ASPとして“アフィリエイターの意見を聞く”ためにこれだけの規模のイベントを開催するのは初の試みといえる。

意見交換会で得た貴重な意見を迅速にフィードバック

イベントの開催日こそ新経営体制へ移行する前だが、実はこれも香川氏の意向によるもの。アフィリエイターとの接点を増やし、距離を縮めるために開催したのだという。 「正直なところ、ここまで多くの方々が参加してくれるとは思いませんでした。関東近県はもちろん、岩手や和歌山など遠方からの参加者も多く、弊社としては嬉しい限りです」と、香川氏は笑みを浮かべる。

当日は日本各地から約120名のアフィリエイターたちが集結。テーマごとに分かれたセッションではさまざまな意見が飛び交い、会場は終始熱気に包まれていたそうだ。

「意見交換会では、皆様から実に数多くの貴重なご意見をいただきました。時間的な制限もあり、私自身が直接お話しできた方は限られてしまいましたが、各セッションの内容も聞いております。初心者の方がトップアフィリエイターの貴重な意見を聞ける機会にもなったようです」と、香川氏は意見交換会を振り返る。

同社では、今回のイベントでアフィリエイターたちから得た内容をすぐにブレイクダウンすると同時に、幾つかの社内プロジェクトを立ち上げた。詳細についてはまだ公表できないが、3カ月~半年以内を目処に新機能などをリリースしていくそうだ。

「インターネット業界は四半期単位で新機能などをリリースすることが多いのですが、これでは今までと何も変わりません。たとえば大きな変革に半年かかるのであれば、小さな改良を積み重ねた方が使う側にとっても便利です。小規模な内容でも、できれば毎月リリースするくらいのペースで進めていきたいですね」と香川氏。確かに、一定期間かけて作り貯めた機能を大規模アップデートで一気に放出すれば話題性がありインパクトも強い。

しかし同社は、まずできることから着実に進めることで、少しでも早くユーザーの要望に応えられるよう取り組む道を選んだのである。このあたりにも、業界全体のスピードと先回りの精神、そして顧客満足度の向上に対する意気込みが表れているといえるだろう。

なお、意見交換会についてはまだ形式こそ未定だが、来年も引き続き開催する予定だという。