説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhoneに付属のイヤフォンを他のオーディオ機器で使えますか?」という質問に答えます。

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iPhoneに付属の「EarPods」は、ステレオイヤフォンとしての機能のほかに、リモコンとマイクの信号をiPhoneへ伝える役割があります。一般的なステレオイヤフォンに比べ扱う信号の種類が多いため、プラグの「極」の数を増やし対応しています。

イヤフォンに限らず、3.5mmサイズの差し込み口(ステレオミニジャック)を採用するオーディオ機器は、3極で信号を伝えています。その仕様は「EIA-153」として規格化されており、先端から順に左チャンネルを伝える部分(チップ)、右チャンネルを伝える部分(リング)、グランドする部分(スリーブ)が並び、それぞれ絶縁リングで分離されています。

扱う信号の種類が多いEarPodsは、通常3極のところ4極で構成されています。EarPodsとiPhoneでは増えた極を利用し、マイクの音とリモコンの信号を伝えているのです。その仕様はCellular Telephone Industry Association(CTIA)という規格に準拠しており、CTIAに対応したスマートフォン/オーディオ機器であれば利用できます。つまり、EarPodsを他のオーディオ機器で使うことは可能です。

ただし、すべてのオーディオ機器がCTIA規格に対応しているわけではありません。CTIA規格では、チップ→リング→スリーブ→マイクの順に極が並んでいますが、CITA規格に対応しないオーディオ機器はマイクの部分を正しく認識できないものがあります。なお、EarPodsに搭載されているリモコンの信号はiOSデバイス独自仕様ですから、基本的に他のオーディオ機器では利用できません。

同じ4極の端子でも極の並び順が異なるものがあります。たとえば、以前SONYやNokiaの端末に採用されていた「OMTP」という規格では、極の並びがチップ→リング→マイク→スリーブの順とされ、CTIAとの互換性がありません。規格が異なるイヤフォンを接続しても、音が小さい、マイクが使えないといったトラブルの原因となります。

iPhoneに付属のイヤフォン「EarPods」はCTIA規格に準拠しています。利用できないオーディオ機器も存在します