フュージョン・コミニュケーションズは12月5日、スマートフォン向けの音声通話サービス「楽天でんわ」を開始すると発表した。同社の電話回線を利用することで、通常の携帯電話の音声通話料金より低価格な30秒10.5円で音声発信が可能になる。楽天の代表取締役副社長國重惇史氏は、「通信業界に一石を投じるサービス」とアピールする。

楽天でんわ

楽天の國重惇史副社長

携帯電話は、発着信時に各携帯キャリアの回線を使って音声通話を行う。今回の楽天でんわは、この回線にフュージョンの電話回線を利用。携帯キャリアの回線と相互接続することで通話を行う。仕組み的には固定電話でも従来からあり、同社も法人向けにサービスを提供。携帯向けの同様のサービスはG-Callが提供しているが、これを楽天子会社のフュージョンが、楽天ブランドで提供する。

利用するには同社のWebサイトで登録を行い、専用アプリ(iOS、Android)をスマートフォンにダウンロードすればいい。登録した携帯電話番号からしか利用できないが、登録後すぐに利用できる。通常の携帯電話と同じ品質で電話ができ、パケット通信を利用するIP電話と比べ、高音質で安定した通話ができる点がメリットだ。電話番号は携帯キャリアのものが利用されるため、通話相手に通知される番号も従来と変わらない。

契約はWebから行い、すぐに登録できる。楽天会員であれば、楽天の契約情報を読み出すことで、登録を簡単に行える

契約してアプリをインストールしたら、あとは通常の電話と同じように利用できる

専用アプリから発信する場合、相手の電話番号の頭にプレフィックス番号を追加して発信している。そのため、標準の電話アプリから同じプレフィックス番号を手動で入力し、相手先の電話番号を入力すれば、楽天でんわとして利用することもできる。これまで法人向けに提供していたサービスをスマートフォン向けにカスタマイズするため、既存設備をそのまま利用できるなど、投資を削減するなどしたことでコストを抑えた。そのため、月額基本料金や登録料金などは不要となっており、登録だけで発信を行わなければ無料でサービスを維持できる。

楽天でんわの仕組み。自分が契約しているキャリアと発信先のキャリアの間でフュージョンの回線を使う。それぞれのキャリアには相互接続料金を支払う

発信時の料金は30秒当たり10.5円。現在、LTE対応スマートフォンの音声通話料金はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクでいずれも30秒21円で、そこから半額の料金で通話できるようになる。

基本料金、初期費用は無料

相手側にはキャリアと契約した携帯電話番号が通知される

回線交換なので、音声品質は通常の携帯電話と同等

もちろん、スマートフォン以外の電話にも発信できる

同社では、050番号を付与するスマートフォン向けIP電話サービス「SMARTalk」も同様に月額基本料無料で提供しており、追加番号を取得できるSMARTalkと、既存番号を利用する楽天でんわの2つのサービスは、「メリットが異なるので棲み分けられる」(フュージョン 代表取締役社長 相木孝仁氏)という認識だ。