このような仕組みは、NVIDIAがPC向けのグラフィックスカードで行ってきた手法とよく似ている。秋葉原のPCパーツショップに行くと、NVIDIAのGPU「GeForce」を搭載したさまざまなグラフィックスカードが店頭に並んでいるが、各メーカーの製品を見比べてみると、ほぼリファレンスデザインのままのカードから、独自の冷却ファンなどを取り付けたもの、定格スペックよりも動作スピードを引き上げたものまで、さまざまな種類がある。開発コストを抑えて早く製品を発売したいメーカーはリファレンスデザインをそのまま利用し、独自の機能や技術を売りにしたいメーカーは手を加えて付加価値分を価格に上乗せするというように、製品にはメーカーごとの戦略の違いが反映されている。

安くてハイスペック、ペン操作や画像処理に特徴

Tegra Note 7での最大の特徴は、Tegra 4を搭載したハイスペックのタブレットながらも、比較的低価格であることだ。今回のZOTAC Tegra Note 7は2万円台半ば、前述のSlate 7 Extremeは米国で199.99ドルの値付けとなっているが、以前からこの価格帯のAndroidタブレットは存在するものの、ワンランク下のプロセッサを利用していたり、設計があまり詰められていないためボディが分厚かったりと、"低コスト版"のイメージが強い製品が少なくなかった。Tegra Note 7では、NVIDIAが用意した高品質のリファレンスデザインをそのまま市場に出すことができるため、高性能かつ安いタブレットが実現可能で、メーカーにとってはタイムリーな製品投入が可能というメリットもある。

機能面では、ペンを利用した快適な操作が大きくアピールされている。従来のタブレットよりも指やペン先の動きへの応答が高速で、筆圧の感知なども可能となっている。NVIDIAではこの機能を「DirectStylus」と呼んでいるが、タッチ操作の検出方式は静電容量式で一般的なスマートフォンやタブレットと変わらない。付属のペンも特殊なものではなく、家電ショップでスマートフォン用として売られている他のペンなどを利用しても問題なく動作する。

ペンを取り出すと、画面のホームボタン・バックボタンなどの横にペン操作専用のボタンが表示される

画面にペンでメモを書き込んでメールで送信したり、Evernoteなどのアプリに貼り付けたりできる

従来のタッチパネルとの違いは、Tegra 4の高いグラフィック処理能力を利用することで、よりわずかなタッチ操作も認識できるようになっていることだ。静電容量式のタッチパネルでは、指先のように柔らかく、画面に触れたときにある程度まとまった面積が接触するものしかタッチを検出することができなかった。このため、市販のスタイラスペンも、画面に触れたときにつぶれて接触面積が広がるゴム球のような素材をペン先に採用していた。