Xbox Oneは単なる据え置き型ゲーム機ではない
さて、本レポートでコンシューマーゲーム機を語ることに疑問を覚える方も少なくないと思うが、今回Xbox Oneを取り上げたことには理由がある。Xbox Oneが単なる据え置き型ゲーム機ではなく、Microsoftが培ってきた技術が惜しみなく投入されているからだ。
22日に寄稿した記事でも触れたように、Xbox Oneが備えるビデオカメラ&マイク搭載のコントローラー「Kinect(キネクト)」を使った、音声認識システムによるテキスト入力や骨格認識システムによる手話入力は、実用段階の手前まで迫って来た。
また、Xbox OneはWebブラウジング機能やSkypeによるビデオチャットなど数多くの非ゲーム系機能を備えている。正確には前モデルであるXbox 360でも、2007年のシステムアップデートでWindows Live Messengerを、2009年にはTwitterやFacebookをサポートし、2012年にはInternet Explorer for XboxやBingの音声検索機能を搭載した。つまり、以前からXboxシリーズは単なるゲーム機ではなく、スマートテレビを実現するためのセットトップボックス的役割を目指しているのである。
Xbox Oneに関してはMicrosoftの各公式ブログが機能をアピールしており、「Bing blogs」はBing音声検索機能を取り上げている。その記事によると、「数十年前に観たスタートレックのように、Xbox OneはKinectとBingの音声認識機能を用いたナビゲーションシステムを搭載している」と説明している。Xbox Oneはゲームタイトルだけでなく動画コンテンツやダウンロードした音楽ファイルなど、すべてを音声で検索し、再生することが可能だ。
記事にある動画を視聴すると、(もちろん英語だが)自然な言葉で投げかけた質問に応じてXbox Oneが映画の検索やゲームタイトルの起動を行っている。BingチームのシニアディレクターであるStefan Weitz氏は、「ユーザーはHuluなどの動画コンテンツ配信サービスや、ゲーム、映画、音楽、テレビ番組といったコンテンツを音声検索で見つけ出し、コンテンツ自体に集中できる」と記事で述べた(図05~06)。
「The Official Microsoft Blog」では、Xbox Oneに搭載したYouTubeアプリをアピール。その記事では、我々が普段使用しているコンピューターと同じく1080pのクオリティで動画コンテンツを楽しめると同時に、YouTube側の機能であるサブスクリプション機能でお好みのチャンネルに投稿された新しい動画を視聴できる、と語っている(図07)。
実のところ同記事は「Xbox Wire」の記事を引用したものであり、同ブログスタッフの投稿記事によると、Kinectに「YouTube」と言うだけで同アプリが起動。再生や一時停止といった操作も音声で行えるという。また、ビデオの先送りや巻き戻しはジェスチャー機能が利用可能。これはKinectのビデオカメラ機能を使ったものだ。さらに同アプリは今後数カ月の間も機能の追加や安定性の向上に努めるという。
そして「Explorer IE」では、Xbox One上のInternet Explorerをアピールする記事を公開した。Internet ExplorerチームのシニアプロダクトマネージャーであるBryan Saftler氏は「約一年前にリリースしたXbox 360用Internet Explorerと比べると、Xbox One用は2倍以上のWeb標準規格に対応した」と述べ、Webブラウジング環境の強化を語っている(図08)。
これらの音声認識を日本語で利用する際、どこまで精度が高まり、正しく動作するかは現時点で不明だが、従来のゲームパッドに縛られた操作から、音声やジェスチャーといった人間にとってごく自然な操作方法を提供するのがXbox Oneである。NUI(ナチュラル・ユーザー・インタフェース)の一部を具現化したXbox Oneの日本上陸を待ち望んでいるのは筆者だけではないだろう。
阿久津良和(Cactus)