若手社員の話題について行きたいけれど、聞こえて来るのは意味不明な言葉ばかり。時流に乗ってスマホを持ってみたものの、使いこなせている気がしない……。このコーナーでは、明日から話題の中心になりたいオジサンのために、スマホ・ソーシャル界隈でいま話題の用語を取り上げて解説します。今回は、iPhoneなどで使えるアップルのメールサービス「iCloudメール」について。
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9月20日に販売が開始されたアップルの「iPhone 5s」「iPhone 5c」。日本ではNTTドコモがiPhoneの販売に参入したことが大きな話題となっています。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」の10月の携帯電話ランキングでも、ドコモ版のiPhone 5s 32GB、64GBモデルが1位、2位となっており、iPhoneを待ち望んでいたドコモユーザーの人気を集めていることがうかがえます。
しかし、ドコモ版iPhoneの購入を検討する際に注意したいのが、キャリアメールの「spモードメール」です。spモードメールは発売日から遅れて10月1日に、ようやくiPhoneに対応しましたが、現在のところ新着メールをリアルタイムに通知する"プッシュ通知"には対応していません。そのため、新着メールを確認するには、iPhoneのメールアプリを起動して手動でメールを読み込むか、最短15分間隔で自動でメールを読み込む設定にしておく必要があり、新着メールにすぐに気付くことが難しくなっています。
また、ドコモは10月24日より、新しいクラウド型のメールサービス「ドコモメール」の提供を開始しましたが、こちらも現時点ではiPhoneに対応しておらず、12月中旬より対応する予定。そして、新着メールのプッシュ通知については、2014年1月の提供予定となっています。ドコモ版iPhone 5s/5cのユーザーにとっては、しばらくキャリアメールの利用に不便を感じることになりそうです。
しかし、そこでspモードメールの代替として検討したいのが、iPhoneユーザーなら誰でも使えるアップルの「iCloudメール」です。iCloudメールは、iPhoneやiPadなどのiOS端末、Macのユーザーが無料で使えるメールサービス。「xxx@icloud.com」というメールアドレスを作成して利用でき、iPhoneでの新着メールのプッシュ通知にも対応しています。
さらに、iPadも利用しているユーザーであれば、iPhoneとiPadで同じApple IDを設定しておけば、プッシュ通知がiPhoneとiPadに同時に届いて、すぐにメールを確認できます。このほか、WindowsやMacのメールソフトで利用したり、Webブラウザからアクセスしてメールを閲覧することも可能です。iPhoneユーザーとしては、iCloudメールを活用しない手はないと言えるでしょう。
また、spモードメールなどのキャリアメールの代わりにiCloudメールを使ったほうが良い、別の理由もあります。現在、iPhoneを販売する通信キャリアは、電話番号を持ったままキャリアを乗り換えるMNP(モバイルナンバーポータビリティ)のユーザーを優遇する傾向にあり、MNPの場合、基本利用料が2年間無料になるなどのキャンペーンが実施されています。そのため、iPhoneをより安く利用したいのであれば、2年ごとにキャリアを乗り換えるのが最も賢い方法という状況になっているのです。
利用するキャリアを変更する場合に障壁となるのが、キャリアメールのメールアドレスが変わってしまうことであり、その都度、知り合いにメールアドレス変更のお知らせを送るのはなかなか面倒です。そこでiCloudメールの出番となります。iCloudメールであれば、iPhoneを使い続けている限り利用でき、キャリアを変更しても同じメールアドレスを使えます。一度、iCloudメールのメールアドレスを知り合いに教えれば、あとは自由にキャリアを変更できるようになり、これらのことから、iCloudメールはドコモのiPhoneユーザーだけでなく、KDDIやソフトバンクのiPhoneユーザーにとっても、キャリアメールの代替としておすすめだと言えます。
キャリアメールの代わりにiCloudメールを使う際の懸念点としては、メールを送る相手の迷惑メールフィルターの設定によっては、受信できない可能性があることです。そのため、キャリアメールのアドレス以外を拒否している場合などは、「icloud.com」ドメインを受信するように設定変更を頼む必要があります。また、メールを受信する際には、携帯電話の絵文字が正しく表示されない場合があります。これらについては、利便性を重視してiCloudメールを使うか、楽しくコミュニケーションするためにキャリアメールを使い続けるかの取捨選択が必要かもしれません。
さっそく、話題のワードを使ってみよう!
部長 「今日からはiCloudメールを活用していくから、アドレス帳に登録しておいてくれよ?」
部下 「いや、部長のプライベートのメールアドレスは、そもそも登録していません」
……話題の中心になるための道のりは続く。
(執筆:ライターズハイ)
■ 株式会社ライターズハイ
鈴木友博・日沼諭史・藤縄優佑
2009年3月設立。スマートフォン、携帯電話、PCなどIT分野を中心に、おもにオンラインメディアでの記事執筆を手がけるライター集団。記事執筆のほかに、ソーシャルゲームへのシナリオ提供やアプリ制作なども展開する。近著に「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典 2013年版」(技術評論社)、「ポケット百科WIDE Xperia Tablet Z 知りたいことがズバッとわかる本」(共著・翔泳社)がある。
(記事提供:AndroWire編集部)