アライドテレシスは10月31日、プライベートクラウド用途向けに、サーバ、ストレージ、ネットといったハードウェアを組み合わせ検証済みシステムとして提供するコンバージドシステム(垂直統合システム)「EtherGRID」を発表した。2014年第一四半期から出荷が開始される予定。

「EtherGRID」

「EtherGRID」は、x86サーバ、ストレージ、ネットワークといったIT機器で形成されるITブロックと、カスタマイズ可能なラック、コンテナによるファシリティーブロックを一体化した提供環境に、導入コンサルティングと導入作業、導入後のサポートまでを含めたソリューション。

ラインナップには、ハードウェアのみを提供する「EG-IPC Platform」(IaaS)タイプと、ハードウェアに加え、OSやアプリケーション(VDI、Backup、VMSなど)を含めたSaaS環境を提供「EG-IPC Service」の2つのパッケージがある。

「EtherGRID」のラインナップ

いずれのパッケージも基本コンポーネントとして、アライドテレシスのデータセンター向け10Gスイッチまたは1Gスイッチとストレージシステムと、パートナーのx86サーバやストレージが装備され、オプションコンポーネントとしてIP-KVM、UPS及びVPN対応WAN接続ルーターが追加できる。

提携しているパートナー

提供形態は密閉型のラック(24U~42U)に空調ユニットを一体化した1ラックタイプからコンテナ(20フィートサイズと40フィートサイズ)まで要件に応じて選択、カスタマイズ可能。1ラックタイプは、UPS(非常用電源)、PDU、監視システム、温度/湿度監視センサー、消火システムをオプションで実装可能。また、空調ユニットは天井部分だけでなく、側面、背面にも装着可能であり、防火仕様ラックを提供することもできる。

提供形態

空冷方式としては、冷却効率の高い外気型空調、空冷、水冷型の空調から選択可能。また、要件に応じた耐震設計、防火仕様、セキュリティーシステム、監視システム、消火システムを実装可能だという。

アライドテレシス ソリューションエンジニアリング本部 本部長 合原義雄氏

今後はパートナーを拡張し、選択できるハードウェアを増やす予定だが、すべての組み合わせを検証済みシステムとして提供することは難しいため、標準パッケージを用意し、あとは顧客のニーズに応じてオプションを検討していくという。

アライドテレシス ソリューションエンジニアリング本部 本部長 合原義雄氏は、「EtherGRID」の特徴として、ネットワーク視点でのグランドデザイン、導入・運用のしやすさ、実績・経験の3点を挙げ、「アライドテレシスは創業してから27年が経つが、その間ネットワークは大きな変化を遂げている。しかし、ネットワークのグランドデザインしないまま、システム構築が行われてきた。それは都市計画がないまま、ビルや建物を造るようなものだ。いまこそ、ネットワーク視点で見たITソリューションが必要だ。現在のクラウド中心のシステムにおいては、われわれの27年の経験やノウハウが生きてくる」と述べた。

アライドテレシス ビジネスエンジニアリング本部 ソリューション支援部 部長 永野忍氏

垂直統合システムはすでに多くのべンダーが発表しているが、アライドテレシス ビジネスエンジニアリング本部 ソリューション支援部 部長 永野忍氏はこの点について、「ベンダーロックインが発生し、どこにどれくらいのコストがかかっているか見えにくい。冗長性、帯域、拡張性はネットワークを中心に考えることで実現できる」と指摘した。

そしてネットワーク中心のグランドデザインについて、「弊社はアクセスネットワークの製品も提供しており、サーバ側だけでく、システム全体を考慮したデザインができる。また、グローバルで製品提供しており、一意のシステムをグローバル展開できる」と述べた。