MMD研究所は9月27日、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルのiPhone 5cを用いた通信速度調査の結果を公表した。それによると、全国の主要都市におけるiPhone 5cの速度はソフトバンクが最速だった。
今回の調査は、3キャリアから新型iPhoneが発売されたことを受けて実施したもの。全国の主要都市にて、9月21日から25日までの期間に調査した。計測場所は札幌、盛岡、仙台、さいたま、千葉、東京、横浜、新潟、金沢、浜松、名古屋、京都、大阪、神戸、岡山、広島、高松、福岡、熊本、那覇の合計20都市125カ所。計測には「RBB TODAY SPEED TEST」アプリを利用し、10時から19時の時間帯に同条件下で各端末とも3回の計測を行い、平均値を記録した。
ダウンロード、アップロードともにソフトバンクが最速
今回の20都市125カ所の調査において、LTEカバー率は3キャリアとも100%だった。各キャリアのダウンロード平均スピードは、全国平均でソフトバンクが26.45Mbps、KDDI(au)が22.00Mbps、NTTドコモが18.21Mbpsとなり、ソフトバンク版のiPhone 5cが最速の結果となった。アップロード平均スピードは、全国平均でソフトバンクが11.59Mbps、KDDI(au)が10.70Mbps、NTTドコモが5.47Mbpsだった。こちらもソフトバンクがトップとなった。
このほか20Mbps以上の通信速度を記録した調査スポット数は、ソフトバンクが87カ所で最も多かった。NTTドコモは39カ所、KDDI(au)は62カ所となっている。
なお、今回の調査での最速値は、NTTドコモが金沢市「金沢21世紀美術館 入り口」で計測した52.71Mbps、KDDI(au)が大阪市「アメリカ村 三角公園」で計測した52.55Mbps、ソフトバンクが名古屋市「名古屋ドーム前」で計測した69.06Mbpsだった。
ソフトバンクの強さとは?
NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの3キャリアから発売されたことで、シェア争いや売れ行きに高い関心が持たれているiPhone 5sとiPhone 5c。今後、各キャリアは料金、通信環境、サービスの3点で他社との差別化を図っていくことが予想される。しかし現段階では各社による料金差はなく、通信速度や繋がりやすさが重要なファクターとなっている。 発売前の下馬評では、フィーチャーフォンの時代に"つながりやすい"イメージを定着させたNTTドコモのiPhoneがシェアを伸ばすのではないか、また800MHz帯のプラチナバンドでLTEを展開しているKDDI(au)が通信ネットワークに強さを見せるのではないか、などとされていた。しかし、BCN社が発表した売れ行き状況やMMD研究所が行った今回の速度調査では、ソフトバンクがリードしている結果となっている。
ソフトバンクでは、新型iPhoneの発売開始に合わせて「倍速ダブルLTE」の提供を開始している。これは1.7GHzと2.1GHzの周波数を用い、現状5MHz幅で提供している両周波数帯でのLTEを全国で10MHz幅に拡大させ、下り最大75Mbpsの環境を提供するというもの。プラチナバンドによるLTEの提供前にもかかわらず、他社の通信を上回る結果を残した勝因のひとつは、この倍速ダブルLTEにありそうだ。
またソフトバンクは昔からiPhoneを扱っているためノウハウが蓄積されており、iPhoneに適した整備をいち早く実施できる強みがある。9月6日にMMD研究所が行った「iPhone 5」に関する満足度調査でも全ての項目でライバルのKDDI(au)を上回る結果が出た。現状ではiPhoneを熟知しているキャリアと、数年前に取り扱いを開始したキャリア、また今回初めて参入したキャリアとの差が数字になって現れているのではないだろうか。