LGエレクトロニクス・ジャパンと京セラは8月29日、LGの曲面型有機EL(OLED)テレビに搭載された「ピエゾフィルムスピーカー"スマートソニックサウンド"」について説明会を開催。その技術とメリットを解説した。

LGの曲面型有機ELテレビ「Curved OLED TV」

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薄型化、設計の自由度を向上させるピエゾフィルムスピーカー

ピエゾフィルムスピーカーは、京セラが開発した薄型のスピーカー。「スマートソニックサウンド」として製品化されており、テレビ向けには「クリアスピーカー」という名称になっている。今回、LGが韓国や北米で発売している世界初の曲面型有機ELテレビ「Curved OLED TV」に同製品がテレビとして初めて搭載された。

厚さ数mmでスピーカーが実現できるスマートソニックサウンド

このピエゾフィルムスピーカーは、圧電性を備えるファインセラミックス(圧電セラミック)であるピエゾ素子の特性を利用したスピーカー。ピエゾ素子は電気を加えるとたわみや振動が発生する(=電気を力に変換する)ことが可能で、この振動やたわみを制御し、樹脂フィルムを組み合わせることで音を発生させることができる。

ピエゾ素子の特性を生かして発生した振動やたわみを制御、それをフィルムで増幅する仕組み

もともとピエゾ素子は、自動車の燃料噴射を精密に制御するための部品や、インクジェットプリンタのヘッドなどに使われ、スマートフォンでは京セラ製の端末で「スマートソニックレシーバー」としても利用されている。

これを応用し、ピエゾ素子をフレームで囲い、表面に樹脂コーティング、裏面に樹脂フィルムを張り付けて電気を流すと、ピエゾ素子が振動し、それを樹脂フィルムが増幅、空気を振動させることで音を伝える仕組みだ。樹脂フィルム全体が振動して音が出るが、周波数の違いによってフィルムの振動する部位が異なり、この振動を制御することで、さまざまな音圧や音域を実現するという。

敷き詰めたビーズが、音が出ることで振動している。フィルム全体が振動し、ビーズが動いている

周波数他院違いによって振動する部位が異なる

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