音楽を作ってみたい!

皆さんもこれまでに一度や二度は「音楽を作ってみたい!」と思ったことがあるのではないでしょうか。ですが、「楽器が弾けないから……」、「PCを使った音楽制作を始めたいんだけど、どのソフトがいいのか分からない」、「音楽制作ソフトって高額なイメージがあるんだけど……」といった問題や、「音楽を作っても発表する機会もないし……」と、せっかく作った楽曲を誰にも聴いてもらえないなどの理由から、二の足を踏んでしまっている方も多いのではないでしょうか。

そんな方に紹介したいのが、Avid Technologyから発売された「Fast Track Solo」(価格:1万8,585円)。高品位な録音・作曲を可能とする2イン/2アウトのUSBポータブル・オーディオ・インタフェースです。本製品には、音楽制作スタジオなどの大定番である「Pro Tools」のエントリーモデルとなる音楽制作ソフトウェア「Pro Tools Express」も付属しているため、この製品ひとつで音楽制作を始めることができます。今回は、このツールを使って、以下の動画に合う音楽を制作して、CM風動画を作っていく様子を紹介し、最終的にはニコニコ動画にアップしてみたいと思います。

「Fast Track Solo」ってどんな製品なの?

本製品は、世界中のプロフェッショナルから好評を得ている同社のオーディオインタフェース「HD I/O」のエンジニアにより設計されたもの。手のひらより、少し大きい程度の超コンパクトサイズのボディーに、プリアンプ付きマイク入力(+48Vファンタム電源対応)とインストゥルメント入力を搭載し、ギターとボーカルなどの演奏を最高24ビット/48kHzの高解像度で同時録音することが可能となっている。また、レイテンシのない録音を可能にするダイレクトモニタリング機能に対応しているので、実際の録音の際などに大変重宝しそうだ。

さらに、付属する音楽制作ソフトウェア「Pro Tools Express」では、トラック数や付属プラグインなどに制限があるものの、プロ用音楽制作ツール「Pro Tools」と同等のユーザー・インタフェースを採用しており、これから本格的にPro Toolsを使った音楽制作を行いたいという初心者ユーザーにも最適だ。なお、オーディオ・インタフェース本体およびPro Tools Expressに加えて、様々な音楽ソフトウェアやプラグインを利用する際に必要となるiLokドングルキー(実売:約5000円前後)もあらかじめ同梱されており、Fast Track Soloは即戦力として使えるハードウェアおよびソフトウェアがひとつにバンドルされた非常にコストパフォーマンスに優れたパッケージといえるだろう。

Fast Track Soloの正面および背面
小型の筐体に、必要にして十分な入出力を凝縮。最大16ステレオのオーディオトラックへの録音が可能な「Pro Tools Express」も付属する。Windows、Mac OS X、iOSなど幅広いOSをサポートしている

Pro Tools Express + iLokキーの利用イメージ
Pro Tools Expressは、Fast Track Soloのユーザー登録した上で、AvidのWEBサイトからダウンロードして利用する仕組みになっている。iLokへのPro Tools Expressのライセンス登録も忘れず行おう!

実際に、Fast Track Soloをコンピュータで使用する際には、付属のUSBケーブル1本で接続するだけの簡単設定で、オーディオ・インタフェースとしてすぐに利用を開始できる。ただし、WindowsにおいてASIOドライバを使いたい場合のみ、AvidのWebサイトからダウンロードした専用ソフトウェアのインストールが必要となる。Mac OS Xについては、OS標準のドライバ(Core Audio)を使用するためインストールは不要だ。なお、専用ソフトウェアに含まれる「Fast Track Solo Control Panel」では、サンプルレートの設定に加えて、バッファサイズの調整なども行えるようになっており、より高いパフォーマンスを求める場合は、ASIOドライバのインストールおよびASIO対応の音楽制作ソフトウェアを利用するのがオススメ。対応OSは、Windows 7(Service Pack 1)、Mac OS X 10.6.8以降となっている。

Windowsの設定画面

MacのAudio設定画面

Fast Track Soloは、Windows標準のドライバでも利用できるが、専用ドライバーを導入すると、バッファサイズの調整なども行えるコントロールパネルが利用可能。Mac OS Xは、USBケーブルを接続するだけで良い

iPhone/iPadとの接続を試す

Fast Track Soloの大きな特長のひとつともなっているのが、iOSデバイス(iPhone/iPad)への対応だ。本体背面に専用の接続ポートが設けられており、付属の専用ケーブルを用いることで、Apple Camera connection kitを利用することなく、iPadおよびiPad miniとダイレクトに接続が行える。

公式に発表されている対応モデルは、iPad 2以降またはiPad mini。iPad(4th generation)およびiPad miniを使用する場合はApple の「Lightning - 30ピンアダプタ」または「Lightning - 30ピンアダプタ(0.2 m)」(別売)が必要。また、Fast Track Solo本体の動作に必要な電源は、iPadからでなくUSBケーブル経由で別途供給するよう配慮されており、動作の不安定を招く要素を極力排除する仕組みとなっているのも嬉しいところ。

さらに、今回はiPhone 5との接続についても試みたところ、アプリからFast Track Soloの入出力を、CoreAudioに対応した各種音楽アプリからまったく問題なく快適に利用することができた! iPadのみならず、iPhoneからもオーディオ・インタフェースとして認識が可能な製品が、まだ現状では少ないだけに非常に重宝しそうだ。iPhone単体だけで、本格的な音楽制作に挑戦したいという野心的なユーザーにとっても、Fast Track Soloは強力なパートナーとなってくれることだろう。

本体背面端子

専用ケーブル&iPad

Fast Track Soloには、iPhone/iPadと接続するための「TABLET」端子と専用ケーブル(30ピン対応)が用意。USB電源アダプタなどで別途動作に必要な電源を供給するシステムを採用している

本体+iPhone5+アダプタ

アプリ内認識画面

iPhoneさえあれば、場所を選ばずいつでもどこでもスタジオクオリティーに迫る高品位なモバイルレコーディングが実現可能。iPhone 5を変換アダプタを介して接続すると、iOSおよびGarageBandなどからも正しく認識された

このようにFast Track Soloは、プライベートルームでの音楽制作から、練習スタジオやライブステージ、モバイルレコーディングまで幅広いシーンで活用が可能。また、YouTubeやニコニコ動画などへ投稿するための、iPhoneやiPadを使った作品のサウンドクオリティーを、手軽かつ劇的に向上させることもできる。もちろん、音楽制作だけでなく、コンピュータからのサウンドをより良い音質で楽しみたい、iPad/iPhoneからのサウンドを手軽に高音質で再生したいといったリスニング用途にも最適だ。

次回は、プロフェッショナル御用達のサウンドツールであるPro Toolsを身近に体験できる、Fast Track Solo付属の音楽制作ソフトウェア「Pro Tools Express」のセットアップや使用方法などにフォーカスしレポートをお届けする予定なのでぜひお楽しみに!

後編の記事はこちら
【レポート】オリジナル楽曲を制作して、CM風動画を作ってみよう!後編
http://news.mynavi.jp/articles/2013/09/02/fts2/index.html