QuietComfort 20の効果を試すために、騒音の多い場所に行ってみようと思ったのだが、その前に、まずは部屋の中でその効果を確認してみた。筆者のいる部屋でおもなノイズ原になっているのは、PCとエアコンだ。騒音計で測定してみたところ、40dB強となっていた。割と静かな環境だ。ここで、QuietComfort 20と、筆者が以前より所持しているアナログタイプのアクティブノイズキャンセリングヘッドホンとで、その効果を比べてみた。
まず、QuietComfort 20を装着して電源をオンにすると、一瞬にしてほぼ無音になる。あまりにも一瞬で切り替わるので、かえって違和感があるほどだ。一方、アナログノイズキャンセリングヘッドホンのほうは、ノイズキャンセリングシステムの効果が現れるまで、1~2秒の間がある感じだ。また、確かにノイズレベルは下がるのだが、何らかの音がかすかに聞こえる。注意して聞くと、どうやらヘッドホン自体が発しているノイズのようだ。残念ながら、筆者の手元にあるノイズキャンセリングヘッドホンは、あまりハイグレードな製品ではない。
さて、QuietComfort 20のほうは、ほぼ無音になったのだが、これは40dB強という、静かな環境での話だ。では、もっと騒々しい場所ではどうなのだろうか。
下の写真は、川崎市内の国道246号線だ。幹線道路で、車のスピードは速い。ただし、この日は8月14日ということもあり、車の台数は通常に比べるとかなり少なめだ。この場所で騒音計を使用してみたところ、大体75dB前後という値が出た。
まず、アナログノイズキャンセリングヘッドホンで、どの程度ノイズを抑えられるかを試してみた。車の走行音は、エンジン音、タイヤの設置面から発するロードノイズ、風切音などがあるのだが、アナログノイズキャンセリングヘッドホンでは、それらのレベルが全体的に抑えられている感じだ。
続いてQuietComfort 20を試してみる。QuietComfort 20では、エンジン音や風切音は、聞こえなくなった。ロードノイズもほとんど抑えられており、目の前を、おそらく60km/hオーバーで走行している自動車からは、ゆっくりと走る自転車ぐらいのロードノイズが聞こえてくるだけだ。
場所を移動して試してみた。下の写真は、東急田園都市線の線路脇だ。列車が通過する際にはかなりの騒音になる。騒音計では、80dB以上の値となっていた。
ここで、電車の通過時にどのように聞こえるのかを比較してみた。まず、アナログノイズキャンセリングヘッドホンの場合、先ほどの国道沿いの場合と同様に、全体的な音のレベルは低下するが、電車の走行音が聞こえなくなるようなことはなかった。
続いて、同じ状況でQuietComfort 20を装着してみると、電車のモーター音、風切音などはまったく聞こえなくなった。残っているのは、レールの継ぎ目を車輪が乗り越える際の音だけで、それも、大幅に抑えられている。
ノイズ抑制効果が高く、バランスも優れたイヤホン
部屋の中、幹線道路沿い、線路沿いという3箇所で、試してみたのだが、QuietComfort 20のノイズキャンセリング効果は非常に高いといえる。環境を選ばす、どこでも音楽に没頭することができる。ただし効果が高いだけに、QuietComfort 20を装着したまま街の中を歩くと、大きな危険が伴うだろう。
最後に音質に関しても触れておこう。QuietComfort 20のサウンドは、ダイナミック型ドライバーを採用したイヤホンらしい、中低域の量感を楽しむことができるものだ。搭載しているアンプの性能のせいもあるのだろうが、中低域は、単純に量が出るというだけではない。アクティブノイズキャンセリングヘッドホンでは、意図的に中低域を持ち上げているケースが多いのだが、QuietComfort 20ではそういったことはなく、あくまでも自然なバランスに仕上がっている。また、密閉タイプのイヤホンでありながら、広がり感が高く、さらに低い音域まで、明瞭に定位するのも特徴的だ。