さらなる進化でユーザビリティを向上

このようにWindows OSを筆頭にWindows PhoneやiOS、Androidなどを用いたデバイスのオンラインストレージとして成長を目指すSkyDrive.comだが、Mehta氏のデモンストレーションでは公開されなかった新機能についても触れておきたい。

新たなSkyDrive.comでは、高解像度のディスプレイでSkyDrive.comを閲覧した際に、画像(写真)のプレビューやサムネイルを高品質で表示する「High DPIのサポート」や、GIFアニメーションをアップロードした際はサムネイルでアニメーション内容が再生可能になっている。また、写真の方向を簡単に変更する<回転>ボタンを用意し、ワンクリックで向きを入れ替える機能も追加された(図09)。

図09 SkyDrive.comで写真をプレビューする際には、向きを変更する<回転>ボタンが加わった

ナビゲーションペインに以前から用意されていた「すべての写真」「共有」にも改良が加えられた。従来は特定のフォルダー内にある画像を表示させようとすると、そのフォルダーを順番に参照して行かなければならなかったが、新たに「すべての写真」で表示するフォルダーの指定を可能にしている。これで深い階層にあるフォルダーをたどる必要はなくなった(図10)。

図10 「すべての写真」からフォルダーを選択すれば、一覧表示したい画像を絞り込むことも可能

過去の共有機能は、フォルダーに含まれるファイルおよびフォルダー全体か、フォルダー内にある一つのファイルに対して個別に共有設定を行う必要があったものの、この点も改善されている。新たなSkyDrive.comでは複数のファイルやフォルダーを選択した状態で<共有>ボタンをクリックし、任意もしくは特定ユーザーとの共有設定を可能にした(図11)。

図11 複数のファイルやフォルダーの共有設定が可能になった。メッセージにある「これらの2個のアイテムへのリンク~」に注目して欲しい

さらに現在の共有状況が分かりにくいというフィードバックに対応し、「共有」で現在共有しているファイルおよびフォルダーの確認を可能にしている。自身が共有しているアイテムに加え、自身に対して共有許可が出ているアイテムも列挙されるため、現在の状況を一目で把握できるだろう(図12)。

図12 「共有」からは自身が共有しているアイテムや、相手が共有許可を出しているアイテムの一覧表示が可能になった

ちょっとしたメモを作成する時に便利なのがテキストエディター機能である。ご承知のとおりSkyDrive.comでは、Word Web Appが用意されているが、TODOなどちょっとしたメモを残すには便利な機能だが、SkyDrive.comグループのプログラムマネージャーであるOmar Shahine(オマル・シャヒーン)氏によると行番号や構文の強調表示、検索や補完といった機能もサポートしているそうだ。

筆者が確認したところシフトJIS(Microsoftコードページ932)で作成したテキストファイルは文字が正しく表示されなかった。これはSkyDrive.comの使用文字コードがUTF-8を使用しているためであり、文字コードを変更して再アップロードすると正しく表示されている。また、筆者が試したところShahine氏が述べた各機能に関しては確認できなかった(図13)。

図13 新たに加わったテキスト編集機能は日本語にも対応しているが、文字コードをUTF-8で保存しなければならない

図14 Webブラウザー経由のドラッグ&ドロップによるフォルダーアップロード機能は現時点でも未サポート。早く対応して欲しい箇所の一つだ

このように日々進化しているSkyDrive.comだが、不便を覚える場面は少なくない。例えばWebブラウザーで各ファイルを格納したフォルダーをドラッグ&ドロップしても、「フォルダーや空のファイルをアップロードすることはできません」というエラーメッセージが表示され、アップロードに失敗してしまう(図14)。

対処方法としては一度SkyDriveフォルダーに対象となるフォルダーをコピーしてから、デスクトップアプリ版SkyDriveアプリによる自動同期を実行。その後、同期するフォルダーから除外することで対応可能だ。この他にもドラッグでファイルおよびフォルダーを選択できない点(ショートカットキーの[Ctrl]+[A]キーで代用可能)など、改善すべき箇所は少なくないが、SkyDrive.comは今後のファイル管理を担うオンラインストレージだけにさらなる改善と進化を期待したい。

蛇足だが、英国で衛星放送サービスを運営するBSkyBは、SkyDriveの名称がEU(欧州連合)において同社の商標である「Sky」を侵害しているとMicrosoftを提訴していたが、Microsoftが改称することで和解成立したことは記憶に新しい。この改称するタイミングにあたって質問したところMehta氏は、「社内調整が必要。ワールドワイドレベルで名称を変更するためのタイミングを見極めている最中だ」と説明した。

このタイミングがどの時期を示すのか述べることはなかったが、Metro(モダン)の改称問題を思い出す方も少なくないだろう。Microsoftは公式に解消理由を明らかにしていないが、ドイツの大手小売企業Metro AGとバッティングしてしまったという見方が強い。本来であれば事前に商標登録を行ってからブランド名に採用すべきだが、同じミスを繰り替えている。

定着しつつあったSkyDriveという改称問題は、Microsoft SharePointの共有ドキュメントライブラリをローカルフォルダーと同期する「SkyDrive Pro」の改称も伴い、ヒューマンリソースの消費も甚大となる。この改称問題がSkyDrive.comの開発に悪影響を及ぼすことがないように期待したい。

阿久津良和(Cactus