新機能を加えた既存アプリもある

「リーディングリスト」は、スマートフォン系アプリケーションやミニブログ用アプリケーションに用意されている"後で読む"をWindowsストアアプリ化したものです。共有チャームを利用し、Windowsストアアプリ版Internet Explorer(以下、IE)11で閲覧中のWebページや、「ニュース」の記事などをリストに登録するというもの(図15~18)。

図15 登録するWebサイトを表示させた状態で共有チャームを開き、「リーディングリスト」をクリック/タップで選択します

図16 これで「リーディングリスト」が起動しました。<リーディングリストに追加>ボタンをクリック/タップします

図17 「リーディングリスト」を起動しますと、登録したWebサイトの参照が簡単に行えます

図18 リストをクリック/タップしますと、スナップでWindowsストアアプリ版IE 10が起動し、Webページの閲覧が可能になります

リストに登録することで、気になる情報だけを抽出するブックマーク的な機能を備えたWindowsストアアプリですが、タイル形式でしか表示されないため、使い続けるとスクロールによる閲覧は厳しくなるでしょう。そのため、虫眼鏡アイコンをクリック/タップすると開く検索ボックスの利用が推奨されると思われます。リストに登録した内容は簡単に削除できるため、アプリケーションを限定しないブックマークツールとして利用しましょう。

「サウンドレコーダー」は文字どおり録音を行うためのWindowsストアアプリです。Windows 3.1以降、同名のデスクトップアプリが標準アプリとして搭載されてきましたが、Windows 8.1でようやくWindowsストアアプリ版が用意されました(Windows 8.1プレビューでは、デスクトップアプリ版の存在も確認できます)。

機能的には至極シンプルで、コンピューターが備えるマイクから録音し、不要な部分をカットするトリミング機能を備えています。興味深いのは録音した音声はファイルではなく、Windowsストアアプリ内に保持している点。録音データはミュージックフォルダーなどに保存されず、他のWindowsストアアプリで利用するか、「メール」で作成する電子メールに添付して送信するのみ(図19~20)。

図19 Windowsストアアプリ版が用意された「サウンドレコーダー」

図20 共有チャームから選択できるのは、現時点で「メール」のみ。録音したデータを電子メールの添付ファイルとして送信できます

「リーディングリスト」と同じ様にモバイルデバイスでは、さまざまな利用シーンを想定できますが、デスクトップ/ノート型コンピューターで活用する場面は少ないでしょう。この他にも通常の計算や関数計算、単位変換を備えた「電卓」が新たに加わりました(図21)。

図21 Windowsストアアプリ化した「電卓」。関数計算や単位変換も可能です

続いて変更が加わったWindowsストアアプリをチェックしてみましょう。「フォト」は大幅に機能制限し、SkyDriveやFacebook上にアップロードした画像ファイルや、デスクトップアプリ版SkyDriveアプリで共有した他のコンピューターに保存したピクチャフォルダーの内容が表示されません(図22)。

図22 機能が著しく制限された「フォト」。簡単なレタッチ機能は備わっていますが、機能制限にどのような理由があるのでしょうか

あまりにも機能が少ないため、あくまでもWindows 8.1プレビュー限定の処置と思われますが、サムネイル画面からピンチやストレッチによるズームイン・ズームアウト機能がなくなっていることを踏まえますと、Windows 8.1 RTM(Release To Manufacturing version:製造工程版)版でどのようになるのか見当も付きません。

大きく変化が加わったのは、内蔵もしくは外付けWebカメラで撮影を行う「カメラ」でしょう。撮影や録画を直感的に行うボタンを用意したのは以前述べたとおりですが、新たにパノラマ撮影機能を備えています。同モードを有効にするとWebカメラで映し出された画面が自動的に撮影されますので、そのままデバイスを前後左右に動かし、ただし位置が映し出されると自動撮影。このペースでパノラマ撮影が可能になります(図23~24)。

図23 Webカメラで撮影および録画を行う「カメラ」。露出の調整なども可能です

図24 新たにパノラマ撮影機能を備え、上下左右に広がる画像を撮影することが可能になりました

「ニュース」や「ファイナンス」はそのままですが、「スポーツ」には「スケジュール」というカテゴリが用意され、J1リーグの試合結果が表示されるようになりました。サッカーに限って述べれば同アプリの当初と比べれば、各国のリーグに関する情報も充実するようになり、使い勝手は格段に向上しました(図25)。

図25 「スポーツ」には新たに「スケジュール」というカテゴリを用意。J1リーグの試合結果一覧が表示されます

「Windowsストア」も変化しましたが、既に前回紹介しましたので割愛します。また、Windows Messengerと同じサーバーを利用していた「メッセージング」は、同サービス廃止(Skypeに移行)に伴い、Windows 8.1プレビューには含まれていません。

このようにWindows 8.1プレビューには、ユーザーから集められた不満や意見を反映させ、既存のWindowsストアアプリを改善すると同時に、地味ながらも用意されていると便利な同アプリ、そして、既存サービスと連動する同アプリが用意されています。Windows 8.1でもデスクトップ環境を中心に利用する、というユーザーにとってWindowsストアアプリが充実しても価値があるわけではありません。

しかし、既存のSurface RTユーザーや、今後登場するであろう7インチクラスのWindows 8.1搭載タブレットに興味を持つユーザーにとって、Windowsストアアプリの充実は欠かせないポイントです。Microsoftには、Windowsストアアプリの充実と共に、さらなる標準Windowsストアアプリの機能強化を期待しましょう。

阿久津良和(Cactus