Windows 8.1に加わった変化は、目に見える部分はもちろん、目に見えないシステム内部まで範囲を広げますと、枚挙に暇がありません。そこで順次Windows 8.1に加わった特徴的な新機能を一つずつ紹介しましょう。今回はWindows 8.1を支える標準Windowsストアアプリについて詳しく述べていきます。
ゼロからはじめる「Windows 8.1プレビュー」
Windows 8.1に加わった新アプリ
Windows 8と同様にWindows 8.1プレビューでも、いくつかの標準Windowsストアアプリが用意されました。ちょうどWindows 95にメモ帳やペイントといったデスクトップアプリが標準添付したように、Windows 8.1を導入した直後から利用可能にするため、比較的豊富なアプリケーションがそろっていると述べても間違いではないでしょう。
しかし、Windows 8登場以降繰り返されたバージョンアップをご覧になればわかるように、Windows 8.1というOSの開発と、Windowsストアアプリの開発は独立独歩の姿勢で進むため、新OSの特徴と同列に語る意味は大きくありません。本稿が掲載された直後に更新されることもあるでしょう。そこで、Windows 8.1プレビューから加わった新Windowsストアアプリと、改善が加わったWindowsストアアプリのみをピックアップします。
まずは「アラーム」。文字どおり、目覚まし時計のように指定した時間に効果音を鳴らすアラーム機能や、一定時間が訪れると効果音を鳴らすタイマー、そして経過時間を測定するストップウォッチと三つの機能を備えています。既にiOSやAndroid OSには同等のアプリケーションが備わっていますが、Build 2013で公開されたWindows 8.1搭載の7インチクラスのタブレット型コンピューターでの利用を踏まえ、用意したのでしょう(図01~04)。
「PC設定」から「PCとデバイス」→「ロック画面」と開きますと、「ロック画面に表示するアプリ」として選択できるだけでなく、「アラームを表示するアプリを選ぶ」として本Windowsストアアプリを選択できます。この設定により、アラームやカウントダウンの結果がToast notificationによる通知やロック画面への描画が行われるため、「アラーム」は地味ながらも忙しい場面に活躍するWindowsストアアプリとなるでしょう(図05~06)。
次に紹介する「スキャン」は、Windows 8.1プレビューをインストールしたコンピューターに接続したデバイスから、スキャンを実行するためのWindowsストアアプリだと思われます。言葉が不明確になるのは筆者の環境では動作検証を行えなかったためです。デスクトップ環境では動作している古いスキャナーですが、残念ながらWindowsストアアプリ上では認識しませんでした。
同スキャナーはメーカーサポートが既に終了しており、サードパーティ製デバイスドライバーを組み込むことで、Windows 8でも利用していますが、同アプリでは検出されません。レイアウトを確認する限り、スキャンのプレビュー結果は右側に表示され、SkyDrive上のフォルダーやピクチャフォルダーなどにスキャン結果を保存されると思われます(図07)。
「フード&レシピ」は米国のBingで展開中のサービス「Bing Recipes」をWindowsストアアプリ化したものです。こちらのブログ記事によると2010年1月から展開中のコンテンツですが、改めて述べるまでもなく日本国内では未展開。過去に蓄積したコンテンツをそのままアプリ化したと見るのが自然でしょう(図08)。
なかなか美しい写真とシンプルにまとめられた料理手順を踏まえますと、日々料理を作る方々には、有用なWindowsストアアプリとなりそうです。そもそも料理は一定レベルの調理技術や味覚が必要なため、しきい値を持って取捨選択されたレシピは有益な情報となるでしょう。ただし、現時点で料理名や料理・ドリンクのレシピはすべて英語のまま。Windows 8.1正式での日本語化を期待しましょう(図09~10)。
「ヘルスケア&フィットネス」も、米Bingのサービス「Bing Health」をWindowsストアアプリ化したものです。以前は「Live Search Health」として2007年頃から提供していましたが、その範囲は米国内にとどまっていますので、日本ではあまり知られていません。
同サービスと個人の健康状態を管理する「HealthVault record」を組み合わせた「Microsoft HealthVault」をベータテスト中ですが、日本の個人情報保護法や医療関係のルールを踏まえますと、健康情報を中心としたコンテンツを提供するWindowsストアアプリとなるでしょう(図11)。
例えばエクササイズは、ダンベルなどを使った身体運動を動画と音声で説明し、下手なアプリケーションと比べるとなかなか便利です。また、体や骨格、内臓の3Dモデルを表示する「人体3D」や、自身の体調を入力して改善を目指す「症状チェッカー」など健康につながるコンテンツも用意。身近なところでは日々摂取した食事のカロリーを登録する「ダイエットトラッカー」などが有益です(図12~14)。