NECは7月9日、独立行政法人防災科学技術研究所(以下、防災科研)が整備を進めている「日本海溝海底地震津波観測網」の観測システム設置作業として、海底ケーブルの敷設を開始したと発表した。

「日本海溝海底地震津波観測網の整備計画」今回、房総沖のサブシステム①のケーブル敷設を行う

日本海溝海底地震津波観測網は、防災科研が整備を進めている大規模な海底地震・津波観測ネットワークであり、房総沖から十勝・釧路沖にわたる広範囲な海域と、日本海溝軸の外側海域での地震や津波の観測を可能にするもの。完成時には、5,000キロメートルを越える海底ケーブルと150台を越える海底観測装置を中心に構成される予定。

各観測装置からのデータは、光海底ケーブルによってリアルタイムで陸上の受信局に伝送される。整備計画では、観測装置と海底ケーブル及び陸揚げ局(地上局)からなるシステムを、太平洋岸沖の5つの海域(房総沖・三陸沖・茨城沖・宮城沖・十勝沖)と日本海溝の海溝軸外側に順次整備する予定。

「観測システム(サブシステム)の構成」房総沖のシステムでは、南房総市と鹿嶋市に地上局が建設①

NECは防災科研から、観測網全体におけるケーブル敷設のための構造探査・海洋調査とケーブルルートの設計、また、5海域分の3,000キロメートルを超える光海底ケーブル、および房総沖・三陸沖・茨城沖・宮城沖の4海域分の100台を超える観測装置(地震計、津波計)の開発・試験・製作も受注している。

今回、観測網の敷設開始にあたり、さらに房総沖の1海域分について、光海底ケーブルの敷設と観測装置の設置を受注し、7月9日に、千葉県南房総市で光海底ケーブルの陸揚げ作業を開始した。

同社では、海底ケーブル事業で実績のある光通信技術、長距離における電源供給技術、データ伝送・処理技術を活用することにより、日本海溝海底地震津波観測網に求められる技術仕様への対応を実現する。

「観測装置の外観と構成」観測装置はNECで開発・製造