1サーバ内でのActive/Standby機能、Amazon EC2にも間もなく対応

続けて大野氏はLifeKeeperの中長期的な開発方針も説明した。中長期的の開発方針として掲げられたのは、「仮想環境への取り組み」と「クラウドへの取り組み」の2点である。

IDC Japanの調査によると、2012年は仮想マシンの出荷台数が物理サーバを上回った。サイオスでも2013年度第1四半期におけるLifeKeeper for Linuxの仮想マシンの割合が、前年同期の16%から38%へと急上昇した。これはミッションクリティカルシステムの仮想環境への移行が本格的に進んでいることを裏付けている。

こうした状況を踏まえ、大野氏は「VMwareの仮想化環境向けHA製品であるvAppKeeperを強化する」と説明。「vAppKeeperは単体ノードでHAを実現する製品であり、VMwareの仮想マシン上でのみ動作する。これをマルチハイパーバイザー対応とし、KVMなどのOSSの仮想基盤や物理環境でも使えるものにする。複数ノードによるHAクラスタリング以外にも、ユーザー企業のニーズに応じて最適なHA環境を提供できるよう努めていく」と話した。

さらに永田氏は、「パブリック、プライベートにかかわらず、クラウド分野に深く入り込むための新製品を考えている」とも説明。「まだ詳細は明かせないが、仮想化環境の導入や、PaaS、IaaSの利用が進む中、HAのグルーピングを把握するのが難しくなりつつある。そうした課題を解決できる製品を提供していきたい」と含みを残し、今後に対する期待を促した。

パートナーカウンシルで積極的な情報収集

以上のように、サイオスは市場動向や企業ニーズを分析し、販売/開発戦略を打ち立てているが、実際に製品を利用しているユーザーの声も大いに重視している。サイオスではユーザーの意見収集のために、「パートナーカウンシル」を定期的に実施している。

5月14日には第2回を開催した。技術者を中心にパートナー企業における関係者が一堂に会し、ユーザーの要望の調査や、開発/販売方針、サポート体制に対する意見交換が行われた。

カウンシルでは、サイオスが注力する仮想化やクラウドをテーマにさまざまなディスカッションを展開。「パブリッククラウドは便利であるものの、セキュリティ面を懸念する企業が多い。その懸念を払拭できずにプライベートクラウドを構築することがほとんど」といった意見や、「仮想基盤が提供する機能で、HAの確保ができていると勘違いしているユーザーが増えている。アプリケーションレイヤーでの監視が重要であることをもっと訴求してほしい」などの要望が出された。

なかには「アプリケーションレイヤーの重要性を示すために、サーバ自体のダウンとアプリケーションのダウンの比率を調査する必要があるのでは」といった提言も出るなど、非常に活発な議論も展開された。永田氏は「普段の販売活動だけでは得られない貴重な意見をいただけた」と総括し、今後の方針に反映させていくことを誓った。