光通信式はスレーブフラッシュの位置が限定される
前回と今回、フラッシュのワイヤレス制御(発光)には、光通信式という仕組みを用いている。光通信式は、マスターフラッシュの連続発光を信号としてスレーブフラッシュを制御しているため、マスター(90EX)の光がスレーブフラッシュの受光部に届かないと正常に動作しない。スレーブの受光部が被写体の影に隠れていたり、距離が離れている場合、太陽などの明るい光がある場合は発光しないことがある。
自宅や会議室程度の広さであれば、マスター側フラッシュの光がスレーブ側フラッシュに直接届かなくても、壁や天井からの反射で正常に動作することも多い。しかし、より広い屋内、そして屋外などでは、スレーブ側フラッシュがうまく発光しないことがある。このような場合は、スレーブ側フラッシュの受光部をマスター側フラッシュに向けるか、カメラとフラッシュの距離を近くするとよいだろう。
受光部をカメラに向けた場合、スレーブフラッシュはおおよそ6メートルくらい離して使用できた。ただ、使用状況によって異なり、明るい場所や、受光部を斜めにすると2メートル以下でも発光しないこともある。特に、270EXは受光部と発光部が固定されているため、どうしても使用距離は短くなってしまうようだ |
おすすめのフラッシュは?
最後に、ワイヤレス多灯撮影で使った外部フラッシュの270EXと320EX、430EX IIについてまとめよう。
270EXはEOS Mに装着しても違和感がない大きさで、上方向へのバウンスも可能だ。さらにリモコンも付属。ただし受光部が固定されているため、太陽光下や人物撮影などのように、スレーブ側フラッシュとして被写体から離して撮影する際は発光しない可能性もある。普段はEOS Mに装着して使い、たまにオークション用などそれほど大きくない商品を撮影する程度なら、価格の面でもおすすめだ。
320EXは操作が簡単で、動画撮影用のLEDが付いているのも特徴の1つ。発光部が上や左右に動くので、縦位置のバウンス撮影にも使用できる。受光部をカメラ側に向けられるので、やや距離を離していても設置しても、スレーブ側フラッシュとして使用可能だ。上位モデルの430EX IIとの大きな違いは、マニュアル発光モードがないことと、撮影距離に応じて発光範囲の電動ズーム機能がないことだ。ただ、手動で2段階に発光範囲を変えることはできる。
430EX IIは動画撮影用LEDを持たないが、マニュアル設定ができるうえ、レンズに合わせて発光範囲を変えるズーム付きと、多機能だ。ただし本体が大きいので、EOS Mに取り付けるとバランスが悪い。見た目の悪さを気にせず、予算の範囲に収まるなら、430EX IIはおすすめだ。ちなみに個人的には、EOS Mに430EX IIよりも大きな580EXを装着し、さらにマウントアダプター「EF-EOS M」を介してEFレンズを付けて撮影しているので、見た目のバランスは気になっていない(せっかくの小型さを損なっているという話もあるが…)。