パナソニックは2013年6月26日午前10時より、大阪市中央区の大阪城ホールで第106回定時株主総会を開催した。雨にも関わらず会場には4,508人の株主が参加。併せて東京、名古屋の株主のために、ハイビジョンブロードバンド中継も行なった。東京では459人が、名古屋では580人が出席した。
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議長を務めたパナソニックの津賀一宏社長は開会宣言のあと、「2012年度の純損失は、2年連続の大幅な赤字となり、無配という苦渋の決断をすることになった。株主に配当ができない状況に対して、経営陣一同責任を感じている。ここに深くお詫びする。誠に申し訳ありませんでした。必ずや、株主の期待にそえるように、従業員の先頭に立ち、パナソニックの復活に不退転の決意で取り組む」と陳謝した。
パナソニックが抱える構造的な課題を新経営体制で克服する
続いて、2012年度の事業報告を約20分間のビデオを通じて説明した。
2012年度を最終年度とする中期経営計画「GT12(Green Transformation 2012)」が未達に終わったこと、前年度の7,722億円の最終赤字に続き、7,543億円と2期連続での大幅な最終赤字になったことに触れ、これらの要因は経営環境の厳しさもさることながら、パナソニックが抱える構造的な課題にも起因すると説明。津賀社長をトップとする新経営体制により、危機意識の共有を図るとともに、本社機能および意思決定の仕組み改革、課題事業の方向づけ、ビジネスユニット基軸の経営の推進などに取り組んできたことを示した。
一方で、2013年度の取り組みおよび中期経営計画については、津賀社長自らが約15分に渡って説明。新たにスタートした3カ年の中期経営計画「Cross-Value Innovation 2015(CV2015)」を推進することで、「一刻も早く赤字事業をなくすとともに、しっかりと将来を見据えて力強く進んでいける道筋をつけることに、不退転の決意で取り組む」とした。
CV2015の重点施策としては、「赤字事業の止血」「脱・自前主義による成長・効率化」「財務体質改善」「お客様価値からの逆算による成長戦略」の4点をあげ、既存の組織や地域、企業の枠組みを超え、異なる強みを掛け合わせる「Cross-Value Innovation」が重要であるとした。
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また、2013年4月から、個々の事業の強さを取り戻すために、9つあったドメインを発展的に解消。その傘下にあった88のビジネスユニットを49の事業部に括りなおし、これを経営の軸に位置づけたことを説明。「事業部はグローバルな開発、製造、販売の責任を負うとともに、事業経営を通じて資金や利益を継続的に増やす責任を負う。そして、各事業部は営業利益率5%に向けた収益改善に取り組む」と述べた。
また、アプライアンス社、エコソリーションズ社、AVCネットワークス社、オートモーティブ&インダストリアルシステム社の4つのカンパニーを新設し、事業部単独では難しい大きな事業展開や新規事業の創出、基幹デバイスの強化などに取り組む体制を整えたことも強調した。
「2013年度は、事業部による自社責任経営とカンパニーの大きな事業戦略、Cross-Value Innovationにより、力強く復活し、純利益黒字化を目指す」と語った。
また、自動車産業に対する新たな価値提案により、2018年度に車載事業で2兆円の売上高を目指すこと、住宅産業に対する新たな価値提案によって住宅関連事業で2兆円を目指すことを改めて示した。
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