台湾・台北市で6月4日から6月8日まで開催される世界最大級のコンピュータ関連イベント「COMPUTEX TAIPEI 2013」で、米Qualcommの社長兼CEOのSteve Mollenkopf氏が基調講演を行った。

QualcommのCOO、Steve Mollenkopf氏

冒頭Mollenkopf氏は、「モバイルがコンピューティング市場を牽引する時代になった」と指摘。2012年のPC出荷台数に対して、スマートフォンとタブレットのモバイル端末の出荷台数は2倍で、これが17年には6倍差にまで拡大すると述べた。続いて、半導体の収益は、PC市場は12年が510億ドル規模、16年は560億ドル規模となるが、これに対してモバイル端末は12年が680億ドル規模、16年は900億ドルで、さらに大きな差となっていると説明。「コンピューティングの次の波」が来ていることを強調する。

PCとモバイル端末の出荷台数(左)と収益

Qualcommは、さまざまなキーテクノロジーを所有し、それらを組み合わせて最適なチップを生み出し、さらに投資を行って新しい技術を作り出そうとしている。こうした点で重要なのが、Qualcommが「モバイルネイティブ」であるという点だ。音声やデータなど、通信の世界から発展してきた同社だが、そうして培ってきたキーテクノロジーに加え、さまざまな技術を集約させて作られているスマートフォンにも積極的に取り組んでいくのが同社の戦略だという。モバイル向けSoC「Snapdragon」では、「3G/LTEといったモデムや無線アンテナ、アプリケーションプロセッサ、GPU、DSP、GPSなどの位置情報技術、これらを1チップに収めたことで、スマートフォンの成長を支えてきた」とMollenkopf氏は話す。85以上のデバイスメーカーがこのSnapdragonを採用していおり、850種類以上の搭載端末が発表または発売されているという。

85以上のメーカー、850以上のSnapdragon搭載端末がある

このほかQualcommでは、パートナーとの協業も重視している。今回の基調講演でもゲストとして、ASUSのCEOであるJerry Shen氏が登場し、Qualcommとの関係をアピールした。その中でShen氏は、10インチクラスの液晶を搭載したタブレット端末を取り出して紹介。フルHD液晶、LTE対応、SoundMaster、Sapdragon搭載の端末で、今秋の発売予定だという。同じクラスでは「MeMO Pad FHD 10」があるが、これはIntelプロセッサを採用したモデルのため、これとは別にSnapdragon搭載タブレットを発売するようだ。

ASUSのJerry Shen CEO

Shen氏が示した10インチクラスのタブレット

Mollenkopf氏はこのほか、Snapdragonのチップセットの構成について説明。CPUはチップ全体の15~20%程度しかなく、それよりもモデムや無線LAN、Bluetoothなどの無線チップが大きい。最新のSnapdragonでは第3世代のLTEモデムを搭載し、 LTE Cat.4をサポートし、下り最大150Mbpsの通信が可能になる。さらにLTEの次世代となるLTE Advancedの機能であるキャリアアグリゲーション(CA)もサポート。カメラ、音楽再生、映像再生用の機能も盛り込んでおり、フルHD、7.1chサラウンドといったマルチメディア機能も全て1つのチップセットに収めている。