天板が透明の「シースルースキャン」

これまでの複合機とひと目でわかる違いが、本体の天板部分だ。ガラス製の天板が採用されており、セットした原稿をガラス越しに確認できるシースルーになっている。

このような構造のため、本機ではスキャンしたい原稿を上向きにセットする。ガラスから見える部分が、スキャンされるわけだ。スキャンを実行すると、カバー部分に内蔵されたセンサーが稼働して原稿をスキャンするのが見える。

コピーやスキャンのとき、原稿の読み取り面を上向きにセット

シースルーのメリットは2つある。1つは、スキャンやコピーをするときに原稿の向きや内容が見た目で確認できる点。これまでの複合機やスキャナでは、原稿を傾けてセットしたり、あわてて違うページ/原稿をセットしたりという失敗があったが、シースルーのHP ENVY 120なら、原稿の状態がその場で確認できるので、こうした失敗がほとんどなくなる。

もう1つは、スキャンやコピーをした原稿の取り忘れを防止できるという点だ。原稿を置きっぱなしにしてしまい、あとで探しまわるということがなくなる。経験したことのある人なら、この便利さに気づいてもらえるだろう。

シースルーというと、時計のシースルーバックを思い出すが、こちらはムーブメントの動きを見て楽しむという趣味的要素が高い。対して、HP ENVY 120のシースルーは実用的な機能を備えており、きちんと意味がある。一見すると特異なデザインだが、使ってみるとなるほどと感じるところが多い。

付属のドライバでPCからスキャン。写真はJPGやTIFF形式で保存可能。ドキュメントをスキャンするときはPDF形式が選べる。設定を用意して保存する機能もある(写真左)。プレビューを表示してスキャンを実行。トリミング位置は手動で設定する(写真右)

自動両面印刷を標準装備

印刷機能は一般的だが、標準で自動両面印刷に対応しているのはうれしい。資料などを大量に印刷するときも、両面印刷することで、用紙を大幅に節約できる。

使用するインクは、顔料ブラックカートリッジ、カラー3色(CMY)一体型カートリッジの4色だ。写真をたくさんきれいに印刷したいなら、染料ブラックや6色インクが使える別モデルという選択肢もあるが、HP ENVY 120でも十分きれいに印刷できる。文書印刷はまったく申し分ない。黒インクが顔料なので、にじみのない文字を印刷できる。

給紙トレイは前面の一段のみで、液晶モニタの横にある取り出しボタンをタッチすると、自動で排出される。とても格好よいのだが、給紙枚数は最大80枚とやや少なめだ。

取り出しボタンをタッチすると、給紙トレイが電動で排出される。もう1度タッチすると格納。または少し押し込んでも自動で格納していく

カラー印刷が少し遅いが画質は十分

印刷速度は、価格帯を考えると少し遅めだ。公称ではA4カラー印刷で約4枚/分。A4普通紙コピーや、写真のL判印刷、はがき印刷の速度は、下表の通りだ。大量印刷には正直向かないが、個人/ホームユースなら大きな不満はないだろう。

■ スタンドアロン
A4普通紙カラーコピー 標準 ドラフト
41.4秒 15.4秒
A4普通紙モノクロコピー 標準 ドラフト
20.8秒 8.1秒
L判フォト用紙フチなし写真印刷
(SDメモリーカード)
標準 最良
63.5秒 -
■ PC印刷
L判フォト用紙フチなし写真印刷 標準 最良
51.6秒 58.7秒
光沢はがきフチなし印刷 標準 ドラフト
65秒 77.8秒

最高画質設定でフォト用紙に印刷したサンプル写真を600dpiでスキャン。あくまで参考程度に考えてほしい

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