米Microsoftが大手書店チェーンの米Barnes & Noble子会社のNook Media買収を検討しているという報道が出たことで、5月9日(現地時間)の営業時間にBarnes & Nobleの株価が前日比24%超の22.08ドルまで上昇する現象がみられた。同件ではNook Mediaのデジタル事業買収にとどまらず、同社のNOOKデバイス事業撤退に関する計画も報告されており、ビジネスが岐路に達しつつあることがみてとれる。
Barnes & Noble (BKS)の株価急上昇のニュースはReutersなどが報じている。もともとはTechCrunchが報じた話題を基に同社株が一気に買い進められたもので、昨今ビジネス的に厳しい状況が続いているBarnes & NobleならびにNook Mediaについて、Microsoft登場が1つの転機になると判断した投資家らが買いに殺到したと考えられる。
Nook MediaはMicrosoftとBarnes & Nobleのジョイントベンチャーで、Microsoftが17%の株式を握っている。残り株式をMicrosoftが10億ドルでBarnes & Nobleから買い進めることで、同社のデジタル出版事業を傘下に収めようという計画のようだ。Nook Mediaには大学向け書籍のほか、電子書籍出版/販売、電子ブックリーダー「NOOK」の開発/販売事業が含まれているが、今回の話題で重要となることの1つは、同社がNOOK事業撤退を視野に入れている点にある。
NOOKビジネスが非常に厳しい状況にあることは周知の通りだが、今回TechCrunchが公開した情報によれば2014年末までにAndroidをベースとした端末事業からの撤退を計画しているという。以後はサードパーティの製品にアプリを提供するスタイルへと移るが、今回のMicrosoft買収がこれにリンクしており、サードパーティ製品として「Windows 8タブレット」を利用するかは定かではない。もっとも、ハードウェアは導線の1つでしかないため、コンテンツ部分の資産をどう活かすかが事業撤退後の経営手腕を試されるところだろう。