『Crysis3』で検証

では本題の『Crysis3』における検証に入る。ゲームのオプションにて、画質およびテクスチャ解像度は"最高"、アンチエイリアスはRadeonとGeForceで共通で利用でき、かつ重くなりすぎない「SMAA 2TX」設定を採用した(MSAAは重すぎるし、TXAAはRadeonでは使えないためだ)。解像度は1,920×1,080ドットに設定している。

測定にあたってはステージ2中盤のマップを移動する際のフレームレートを「Fraps」を使って検証する。それぞれ3回計測し、平均fpsが最も高い回の結果をそれぞれ採用する。

ステージ2中盤に入ると若干開けたマップを動き回ることができる。ここのマップを2分間同じコースで動き回る際のフレームレートを計測した

フルHD環境におけるフレームレート比較。GTX 680とHD 7970 OCの間にはほとんど差がない

最大fpsはリファレンス版HD7970が最下位に転落したが、平均および最低fpsは3者ほぼ同レベル。別にRadeonは"ベンチ番長"という訳ではなく、しっかりとチューニングされたゲームであれば、ハイエンドのGeForceと大差ない性能を叩き出す、程度の認識でよいだろう。

さて、ここまで上位のGPUを使っているのに、なぜ最低fpsが20近辺まで下がるのだろうという疑問があるかもしれない。そこでFrapsの吐き出す1秒ごとのフレームレートをもとに2分間の遷移グラフを作ってみた。視線を大きく振る瞬間でグラフの谷ができやすく、さらに複数回連続して同じ動きをしても、ほぼ同じ場所で谷が出る(=データのキャッシュヒットにあまり関係ない)。このゲームを常時60fpsキープするには、果たしてどんなハードが必要なのだろうか……。

3本のグラフの線がほぼ同じタイミングで山と谷を形成している

超高解像度環境では差がひらく!

だが今どきフルHD程度の環境で満足していてはコアゲーマーの資格なし、ということでもっと負荷の高いWQHD(2560×1440ドット)環境で同じテストをしてみた。画質設定やテスト方法は全く同じにしてある。

WQHD環境におけるフレームレート比較。順位は同じだがHD 7970 OCがハナ差で逃げ切ったかっこう

2分間のフレームレートの遷移。HD 7970 OCとGTX 680の間にわずかな差が生まれている

HD 7970 OCがGTX 680よりほんのわずかに高いフレームレートを出している(OC版だから当然だが)。この結果をもって対『Crysis3』最強はRadeonだ、と言うつもりはないが、このゲームのために買っても損はない、と言う位は十分許されるはずだ。

ドライバ見直しで性能向上の余地は大きい

センセーショナルな見出しが付くような決定的な差がつかなかったのが残念だが、昨年までパッとしなかったRadeonは、最新ゲームではしっかり第1線で戦えることがわかったと思う。加えて現在流通しているRadeon系のグラフィックカードには、そのGPUの性能に応じたゲームがバンドルされている製品も多い(『Crysis3』はHD 7900シリーズにバンドルされる)。グラフィックカードを買ってさらにゲームを買うよりも、『Crysis3』がプレイしたいなら、それに最適化されているHD 7970搭載カードを選ぶ方がお買い得感がある。今後のグラフィックカード選びの選択肢に加えてみてはどうだろうか。